昇進おめでとうという言葉が周りに飛び交っていた。
ディエス・ドレークは若くして能力を発揮し、輝かしい功績を次々と残し、遂に少将まで上り詰めたのだ。
夜の酒場にはドレークの同期や友人などが集まり祝杯を挙げていた。
「ドレーク!昇進おめでとう」 「俺より先に昇進するなんて卑怯だぜ」 「全くだ」 「おい、思ってねえだろう」 「はは」
こうやって友人と騒ぐのもドレークは嫌いではなかった。
素直に嬉しかったのだ。
友人たちが自分を祝ってくれる事に。
明日からは少将という座に着き、自分の正義を貫ける。
また違った世界が見える。
やっとここまで来た、とドレークは思った。
そこでふと頭に思い浮かべる。
ドレークにはある時から肩を並べたいと思っていた人物がいた。
バラデュール・サラ。
その名前がドレークの心に焼き付いている。
サラとドレークは同期で、大尉まで共に昇進していた。
しかし大尉の時ドレークは大きな怪我を負い、差が開いて仕舞ったのだ。
サラは昇進して行き、ドレークが大佐の時には立派に少将と呼ばれていた。
もう一度あいつと肩を並べたい。
その思いだけがドレークを支え、力を与えた。
ドレークは酒を飲み干し、グラスをテーブルに置いた。
21 August 2013. Masse
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