私の言葉でこいつが簡単に帰る筈もなく、街で残りの一時間を潰す羽目になった。

流石海軍本部、街は海兵だらけだった。

ラフィットは面白くないのかステッキをさっきからくるくるくるくる回している。

私を連れて来たくせになんなんだ一体。

早く一時間経たないか、と思っていたらラフィットが回していたステッキが海兵に当たった。

しかもそのステッキの勢いが早かったのかその海兵は店の壁に吹っ飛んでいった。

私は勿論顔面蒼白になった。


「なっ、なにやってんの!?」
「!?…お、お前!何者だッ!!」


えっなんで私にまで銃を向けてるの?

しかも本人え?なに?みたいな顔してるし!


「自ら当たりに来られたのでは?」
「(お前馬鹿か!!)」
「海賊か!?撃てェー!!」


私まだこんなところで死にたくない!と目を強く瞑った。

でも痛みはなくて、恐る恐る目を開けるとラフィットがステッキで銃弾を跳ね返している真っ最中だった。

流石保安官、って感心している場合じゃない!

跳ね返したら敵とみなして余計撃ってくるから!

もしかして弾切れになった途端こいつ殺しにかかるんじゃ…。


「待てッ!!撃つのを止めろ!!」


男の声が聞こえたと思ったら海兵らは撃つのを止めた。

…もしかしてラスボスか!?

私はサッとラフィットの背中に隠れた。

でも私の予想していた展開とは違った。


「サラか?」


こ、この声は…、

神が降臨しなすった!


「ドレーク!」
「…ドレーク?」


ラフィットは未だ身構えた状態で首を傾げていた。

私はそんなラフィットを放っておいてドレークに駆け寄った。


「もう来てたんだな」
「今日は色々あって早く着いたの。あの、海兵さん大丈夫だった?」
「ああ、怪我はなかったが一応病院に運ばせた。この事は上には報告しないよ」


な、なんて優しいんだ!

私はドレークと海兵の皆さんに何度も頭を下げ、ラフィットを睨むとステッキが曲がっていないか確かめていた。

殺意丸出しにしているとドレークが苦笑いしながら私の肩を叩いてきた。


「もう海軍本部に戻った方がいい」


周りを見渡すと騒がしくなっていた。

ここは俺が何とかしておくから、と言われた瞬間腹が浮く感覚に襲われた。

もう絶対こいつとは外に出ない。

段々小さくなっていくドレークに後でちゃんとお礼をしないと、と思った。


「助かりましたね」
「元はと言えばお前のせいだ!!」


ラフィットの笑い声に私は改めてなにを考えているかわからない、と眩暈を覚えた。


5 August 2013.
Masse


ドレークを絡ませたい病.
これからも出てきます.


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