ぼんやり、意識が朦朧としている中、東の空から日が昇るのを見る。
今まで闇を見ていたせいか、日の光が目に染みて思わず瞑った。
この数日眠っていないから脳が悲鳴を上げているけれど、眠ることなんて出来ないわ。
眠ったらもう起きられないような気がして。
冷たい金属に身を寄せて眠っている彼を見て思う。
あなたが私の恋人ならここがもっと楽しい場所になるの?
私があなたを愛したら、ここがもっと楽しい場所になるの?
あなたは全て知ってるのでしょう。
そんな簡単なものじゃないって。
俯いて、自分の白い足を見る。
ここを抜け出して、止まらずに、彼の元に辿り着けたら。
一歩踏み出す度、胸が痛んでどうしようもないだろうけれど、それでも止まらずに。
構わず歩き続けて、彼にまた会えたのなら、貴方は私を迎えてくれる?
その逞しい腕と情熱溢れた胸で私を抱き締めてくれる?
私を突き放したりしない?
悲しむのはイヤ。泣くのもイヤ。
愛されているだけじゃダメな時もあるの。
だけどそんな時こそ楽しく笑って幸せな気持ちで過ごしたいって思ってた。
人生という長い道のりを貴方と一緒にって。
これからも辛いことがあった時は、楽しいことだけ考えるのって決めてたのに。
人生に迷った時もあったけど今は違う。
物事も見えなかったけど今ならわかるの。
昔は小さい子どもみたいに訳がわからず、手に入るものなら何でも欲しかった。
欲しいものは全て手に入れて。
そして人生に飽きた時、貴方が私を愛してくれた。
不器用だったけれど、私は貴方で満足だったの。
だって私も貴方を愛していたから。
毎日が楽しくって、今でもあの土砂降りの雨の中で貴方と熱いキスをしたのを覚えてる。
でも急に貴方はいなくなって、私は何もわからなくなった。
とにかく怖かったの。
貴方と引き換えに、気が付けば私はこの黄金に埋れていた。
今の私は貴方と出会う前の私みたい。
でももう黄金も要らないの。
貴方と出会ってわかったの。
ねえ、聞いて。
天国の門の前に立った時、私は貴方に言うわ。
今それを考えてるのだけれど、貴方も考えておいて。
生まれたからにはいつか死ぬのだから。
19 December 2013. Masse
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