祖父から1mくらい離れて歩く。

大きくて静かな廊下にはカツカツ、と祖父の靴の音が一定のリズムで響いている。

祖父とのこの沈黙がはっきり言って嫌いだ。

なぜって、ただ単に怖いから。

祖父は喜怒哀楽もまるでない人だったから黙っていると本当になにを考えているのかわからない。

しかし自分は一体どこに連れて行かれるんだろう。

自分はこの人に対してなにか気に障るようなことでもしたのか。

そんなことあってはならないことだ。

と、そんなことばかりがぐるぐる頭の中を巡り、とても落ち着かなかった。

祖父に今更どこに行くの、なんて聞けない。

すごく長い間歩いたと思う。

着いた先は地獄でもなんでもなく、誰も使っていないようなこじんまりした部屋だった。

祖父は扉を開けたまま私を見下ろしてこう言った。


「今からここがお前の部屋だ。好きに使うといい」


祖父の目が入れと合図いるようで私は重い足取りで部屋に入る。

こどもには大きすぎる部屋だった。

あるのは机と棚とベッドだけ。

私はなにをしていいかわからず振り返って祖父を見ると、祖父はまた来るとだけ言って扉を閉めた。

寒くて、身震いがした。

私は広い部屋にひとりになった。


24 September 2013.
Masse


ここからは過去編です.
ラフィットが恋しいです.







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