「これをクラスに持って行ってくれない?」
職員室に用があって先生と話していると出て行く際、そう言われ渡されたのは提出物のノートだった。
クラスの人数分あるので結構重たい。
えー、と非難の声を上げたら先生、ちょっと腰に来てるのよ歳だから、と言われ背中を押された。
仕方ないと思い、階段を上る。
積まれたノートで視界が遮られ、下ばかり見ていたから気が付かなかった。
「手伝おうか」
中禅寺くんがいた事に。
その声は静かな階段によく響いたので私ははっと顔を上げた。
見ると中禅寺くんで、返事をする暇もなく中禅寺くんは私の持っていたノート全てを持ってくれて、テクテクと階段を上って行く。
そして私は我に返った私は小走りで付いて行く。
「ーー中禅寺くん、半分持つよ」
それでも中禅寺くんは止まらなかった。
そして結局最後まで中禅寺くんに持たせてしまった。
「あの、ありがとう。ごめんね、私が頼まれた事なのに」 「僕が勝手にした事だ。しかもあのまま持たせていたら転んでいたと思うよ」
はは、そうだよね、と引き攣り笑いで返した。
中禅寺くんはそのまま自分の席に戻って行った。
なんだか最近中禅寺くんと話す機会が多いな、と思った。
23 September 2013. Masse
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