この、泥沼のような恋から抜け出したい。
そう思えば最後、私の足は益々沈んで行くの。
「セブルスー」
「なんだ」
折角の休日だってのに朝からずっと読書。
それほど面白い物なのかと表紙を見れば、また闇の魔術に関する本だった。
「天気も良いし、散歩しない?」
彼は私の方を見向きもしないで。
「これ読み終わったらな」
またページをめくる音。
私は机に肘をついた。
「ほんとに?」
「ああ」
私はこんなにも君のことを考えてるのに。
彼の頭の中を独占できる闇の魔術が羨ましいよ。
でも彼は優しいからいつも私に付き合ってくれる。
私が彼を想うように、彼も私を想ってくれたらな、と何度思ったことだろう。
思っても無意味なことだけれど。
「これでも読んでいろよ」
「なに?」
「雑誌だ、マグルの」
スリザリン寮にあってはならない物なのでは、と言えば、マグルの雑誌の方が女子は好むんじゃないのか、と言われ、パラパラとめくる。
…ほんとだ、面白そう。
髪の毛の巻き方とか、化粧を上手にする方法など、如何にも女子が読むやつ。
私はセブルスの隣に座って、静かにそれを読む。
好きな人の隣ってなかなか緊張するけど、一番近くにいられるから良いなと密かに思う。
そんなことを私が考えてるなんて思ってもいないセブルスは黙々と本を読んでいる。
その姿に少し腹立ちながらも、バクバク鳴る音を気にしながら横目でセブルスを見た。
30 January 2013.
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