最近頻繁に雨が降る。
その為気温も低く、益々外に出る気が失せる。
考えてみれば一週間程外に出ていない。
仕事もなく、ずっと寝衣のままだ。
用もなくジョンの名を呼べばジョンは恋人の家に行っているのに気が付く。
腹が減ったので、ハドソンさんを呼ぼうと思ったが生憎大きい声を出す気にもならない。
サラにメールでもしようとケータイに手を伸ばす。
そういえば、二日程サラに会っていない。
授業が終われば真っ先に来いと打って、そのまま思った。
いつもサラから来て貰ってばかりだ、そう思ってまだ降っている雨の音を聞き流し、そのメールを削除した。
***
本当、テストを作るのは苦労する。
そう思いながらテキストや資料を無造作に鞄に入れる。
家で仕事するのはあまり好きじゃない。
これといった理由はないけど。
時計を見れば20時を過ぎていて、生徒でいっぱいだった図書館も今では人気がない。
わたしはその図書館から逃げるように歩く。
確か、シャーロックと二日くらい会っていない。
たった二日でも違和感が…、会いたいけどテスト終わってからの方が良いかな。
今頃ジョンとディナーでもしているだろう。
「おい」
玄関に今考えてた男の人が立っていた。
目が会う前に偉そうにそう言った彼に、なにかあったんだろうかと。
「なんでいるの?」
「別に」
「理由がなかったらこんなところ、来ないじゃない」
「腹が減った」
本当この人の対応に困る。
改めてジョンに同情、ルームシェアなんて悪夢だね。
「ジョンは?」
「どこかへ行った。朝まで帰らないだろう」
「ふーん、愛想尽かされたんじゃない?」
「今に始まった事ではない」
「そうね」
持っていた傘を開いて、じっと隣で固まっているシャーロックを見た。
「…大丈夫?」
「サラ」
「…なに」
「一緒に住むか」
は?とシャーロックでも冗談言うのねとか思ってたら意外と真剣に言ってるものだから。
「そうすれば二日も会えない日なんてないし、君が料理を作ってくれるし、何かと便利だベイカー街は」
「えっと、」
「いや、地下は使う必要ない。僕と一緒の寝室を使うと良い」
「あの、」
「なんだい?」
「歯ぁくいしばれ」
10 February 2013.
Masse