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彼女はホグワーツの解剖学教授で、少しばかり性格が堅物という事で有名だ。

私も人の事は言えないのだが、女性には清らかさ朗らかさがあっても良いのではないだろうか、と思う。(大抵の女性はそうだろうが彼女はまるで違う)

私とは違い、どの寮にも贔屓する様な事がなく、減点すらするところを見た事がない。

特別気に入った生徒がいる訳でも、没頭する様な趣味も、彼女が興味を示した事すらもない。

只ひたすらに解剖学が相に合っているのだろう。

彼女は私の恋人だが、少しも趣味は合わないし(あぁ、彼女には趣味はなかった)、彼女との共通点など今考えてみれば、ない。

彼女は誰なのか、とふと思う時がある。

出身地も誕生日も家族構成も、知らない事ばかりだ。

でも彼女は私の事を当然の様に知っている。

出身地も誕生日も家族構成もそれ以外の事も全てだ。

人前で感情を全く出さない彼女は、時にその整った顔立ちで微笑む事もあり、時に怒りを露わにする事だってある。

だがそれも全て、私の前だけだ。

私は彼女のどこに好かれたのか。

いつから彼女を愛する様になったのだろうか。

不安でならないのだ、彼女は何を考え、何を思っているのか。

そんな事を一時間ばかり考えていると、夕食の時間を過ぎていた。

私は憂鬱な気分で大広間に入り、先に食事をしているサラの隣に座る。

今まで彼女の事で考えていたのだから、いつもの様に話しかけられなかった。


「具合でも悪かったの?」


勘付かれてはいないかと思ったが、彼女は私の皿に料理を取り始めた。

その誰にも見せない微笑みを向けられ、私は思考を停止させられる。

今更気付いたかの様に私はこれに落とされたのだと。

酷く、魅力的だった。

これまで無駄に悩んでいた事が頭の中から消されていく。

彼女は私を愛しているのだ。

初めて私は彼女の愛が見えた気がした。


「レポートの採点に追われていただけだ」


そして私も同様、彼女を愛している。

彼女は私の愛が見えているのだろうか。


29 January 2013.
Masse

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