気が付けば私たちは最高学年になっていて、もう後数日で卒業する。
最後の思い出作りだと張り切っているのはスリザリン以外、私たちは違った。
私たちは闇に消えて行くのだ。
将来と命と愛までも捨てて。
「セブルス」
談話室には彼とふたり。
私の声が透き通って聞こえた。
彼はこんな時期でも勤勉だ。
「…まだ起きていたのか」
「あなたもじゃない」
彼は私と違ってあの人に付いて行くことをどうにも思わないのだろう。
人を殺すことなんて、到底私には出来ない。
純血主義の家では出来損ないかも知れない。
彼がこっちに来いと言うので私は彼の隣に座った。
「僕は死喰い人になると決めたんだ」
わかっていたけれど。
私は彼が好きだ、好きだから私もこの道を選んだ。
彼のことを好きになるまいと変わらないけれど。
彼となら、道を踏み外しても悪くはない。
「そしたら少しでも一緒にいられるだろ」
彼の目は真っ直ぐで、迷いのない目だった。
闇の中に光があると信じてるから。
ごめんね、私のせいであなたを道ずれにしてしまった。
「…うん、そうね」
彼の肩に持たれ掛かれば、彼は私の手を握った。
涙を堪えてその手を握り返す。
セブルス、私たちに未来はないのよ。
19 January 2013.
Masse