七武海の招集がかかった。
海軍本部は朝から緊張を張り詰めた様な空気で、いつもの騒がしさがない。
でもそれはあくまで海兵達の話で、上にいくほど緊張と言う物がなくなっている。
私もこれで4回目、あの七武海の独特な雰囲気にはもう慣れた。
朝もいつも通りに起きて、七武海の会議は午後から。
今日はこれと言った仕事はなく、会議まで後1時間、私は外に出て暇を持て余していた。
ふと中庭を通った時、誰かベンチに腰掛けていた。
こんな日差しの強い時間帯に、と思いながらそっと後ろ姿に近寄った。
「…おい」
慌てて後ろを振り向いても誰もいなくて、考えて見ればそのベンチに腰掛けている人の声だった。
「なんでしょう」
「会議は何時からだ」
もしかして、七武海の、と思った時その人はベンチから立ち上がって帽子を頭に乗せた。
「…14時からです」
「そうか」
帽子を深く被り、私の身長くらいの剣を後ろに差して。
ゆっくり私に近づいて来る。
これが世界一の大剣豪、ミホークと初めて会った日だった。
この時の私は酷く、その人の目を見てみたいと思っていた。
会議に出席したのはドフラミンゴとくまとミホークだけだった。
くまは毎回会議に応じてくれているけれど、ドフラミンゴとミホークは滅多に顔を出さない。
だから今日の会議はまだ真面に出来た方だ。
でも相変わらずセンゴク元帥の話を聞いているのはくまだけで、ドフラミンゴはつまらなさそうにごそごそしている。
ミホークは眠っているだろうなぁと尻目にかけてみると、不意に目が合った。
帽子から見える金色の鋭い目。
でも何故かなにも、恐怖も感じなかったから私はふと少しだけ笑って見せた。
すぐに逸らされると思った矢先、その世界一の大剣豪は口の端を上げた。
同じ人間と思えない目を持っているせいか、その表情は美しかった。
(その綺麗な瞳に映れたら良いなと)
18 May 2012.
Masse