夜、目が冴えていてちょっと風に当たるかと部屋を出た時だった。
薄暗い廊下に誰か倒れている。
一瞬焦ったが、すぐ隣の部屋のドレークだとわかった。
私はあんな男でも倒れることなんてあるのか、と思いながらうつ伏せになっているドレークに近づいた。
「ドレーク、」
「んー、もう…もう飲めないぞー…」
誰だドレークに酒飲ませた奴。
でも良くここまで辿り着けたな、と感心しながら私はドレークの身体を持ち上げ様とした。
が、やはり無理だった。
参ったな、このままでは風邪をー。
「?良い臭いが…。
お前サラの香水つけてるのか?
何様だ貴様ー」
迫力がまるでない。
どこへいったんだ、普段のドレークは。
別にこのままここで放置しても良いか、と思った私はドレークを地面に叩きつけた。
しかし瞬発的に腕を掴まれ、私は地面に膝をついた。
「サラ、」
「おい、ドレーク」
ドレークの熱い手で私の手を握られた。
もう一方の手は私の後頭部に。
あれ、何かするんじゃないのかこいつ。
「好きなんだ、サラが」
さっきとは違う少し真剣さが入った声で。
私はらしくないが、え、と間抜けな声を上げ、みるみる熱を上げていった。
段々近づいて来るドレークの整った顔に、もうどうにでもなれと。
「俺にはサラしかいないんだ…」
一方的にドレークからのキスだった。
長い睫毛、凛々しい眉毛、高い鼻、毛並みの良い髪の毛。
ドレークってこんなひとだったか。
思わず胸を高鳴らせた。
するとドレークはもう1度私の名前を呼んで、私の膝に崩れた。
これが男だったらどう言うつもりだったんだ!
12 May 2012.
Masse