怒っている。
私は今怒っている。
目の前で悠々と他人の仕事をやっているドレークに。
それだけならまだしも急に部屋に来てくれないかと言われ、ドレークの部屋に入れば仕事を手伝って欲しいと。
返事も聞かず次から次へと私に仕事を渡して来る。
それを続けてもう時計の針は11時を過ぎている。
思わず溜め息が漏れた。
「少し休憩しようか」
「別にドレークがやりたいのならやってやっても良いけれど」
頭にはてなを浮かべて私を見るドレークを尻目に仕事を再開。
あぁ、面倒くさい男だ。
「なんで他人の仕事をするのか、…馬鹿なの?」
「ばっ馬鹿とは何だ!
そいつが困っていたからだな、」
「あー、はいはいそうですかー」
そんな男が構わず私を巻沿いにしたのが少し嬉しかったのか、最後までドレークに付き合った。
このお人好しな性格はこれからも治らないんだろう。
それに巻沿いをくらう私も治らないんだろう。
「ありがとう、助かったよサラ」
「…次は助けないからね」
はは、参ったな、と笑う恋人を見て私はこんな人に惚れたんだと。
お礼に紅茶を出してくれたのだが、それは最高に甘かった。
3 May 2012.
Masse