貴方も私も早い朝が来た。
朝に弱い私はいつもヴィスカルディさんに起こされる側。
おかけで寝坊は1回もない。
ヴィスカルディさんは私を起こしてから、必ず毎日コーヒーを入れてくれる。
私がぼーっとしている間にヴィスカルディさんは慣れた手つきで2人分のコーヒーをつくる。
別に私が頼んだ訳でもないのに。
本当に優しい人。
ヴィスカルディさんは必要なこと以外話さない静かな人だから、今日も黙ったまま。
私はその後ろ姿をぼんやりと見ていた。
「無理に背伸びしてどうしたんだ」
背の高い貴方だから。
すぐ隣で精一杯背伸びする。
それでもぎりぎり肩に届かない。
「何故そんなに背が高いんですかね」
さぞ驚いた、呆れた顔をする貴方も愛しい。
うわっとバランスを崩してヴィスカルディさんの筋肉質な右腕を掴んだ。
ああ、貴方は将校で鍛えているから。
今まで服の上からでも触れたことのない腕に私は思う。
「私が男だからに決まっているだろう」
余り喋らない貴方だから、小さいことで話すこの会話が私にとって幸せの1つ。
それを貴方は知らないでしょう。
22 Mars 2012.
Masse