一年間付き合った異性と別れた。
なんで?と自問しても未だ自答出来ない。
別れを切り出したのは自分なのに。
お付き合いしてもこんな事ばかりで、その度自分が嫌になる。
こんな自分でもいつか変わると信じて、色んな人とお付き合いした。
片っ端から関係を持った。
一体自分はどんな人なら本当の自分でいられるのか。
誰も私に問い詰めては来なかった。
優しかったから、とは思うけれど、でもなんだか物足りなかった。
今回も失敗に終わって、恋というにはなにか足りない物が終わって、なんだか私は空っぽな気分だった。
「君は男を信用していないだけだ」
コーヒーを飲む為に湯を沸かしていると、マインドパレスに旅立っていた同居人のシャーロックが突然私にそう言った。
「…お帰り、シャーロック」
「ああ、ただいま。続きだがそもそも本気で君は相手の事を好きじゃないだろう。それなのに次々恋人を作ってる。そんな事を繰り返しているといつか足をすくわれるぞ」
「恋人が一人も作れないシャーロックに言われたくないな」
「僕は作れないんじゃない作らないんだ」
「そうだった」
僕の話を聞いていたか?と聞かれたのでうんうんと答えながら二つのカップに湯を入れる。
それを持ってリビングに出てシャーロックに一つ手渡した。
「砂糖入れたか?」
「あー忘れた」
「…それで?」
「なにが」
「当たってるだろう」
「そう言われるとそうかもね」
「君は自分の事を理解出来ていないしコントロールも出来ていない」
「シャーロックの方がわかってるかもね」
「…」
恋(自分はそう思っていないけれど)が終わる度にこうやってシャーロックから色々と言われる。
ここで私が泣いてやったら彼はびっくりした表情で慰めてくれるんだろうけれど生憎泣きはしない。
「君は告白されるのを好む。自分では言い寄らない」
「うんうん」
「だが君に寄ってくるのは君のタイプじゃない男ばかりだ」
「皆そんなものじゃないの?」
「君のタイプは女にも富にも権力にも踊らされない男だ」
「…そう言われればそうかも」
確かにシャーロックの言うとおりだった。
でも大体そんな人は内気で、私と真面に話なんて出来ない人ばかりだった。
理想と本当に好きになるのとは違うからそこを深く考えていくともう面倒ってなる。
自分が誰を好きなのかもわからないのに。
「もう君はやめた方がいい」
「なにを?」
「…もう恋人を作るのはやめろ」
「うん、わかった」
「それは前も聞いた」
「そうだっけ?」
カップから目線を外してシャーロックを見ると、少しからかい過ぎたのかシャーロックは一口も飲んでいないカップを少し乱暴に置き、ソファーから勢いよく立ち上がった。
「僕の気持ちも知らないで君は、」
一瞬ダークブルーの瞳が揺れたのが見えたけれどシャーロックは逃げるように私室に行ってしまった。
一人残された私は急に不味くなったコーヒーを無理矢理流し込んだ。
やっぱりこういう事はジョンに相談すべきだったかな。
後で謝りに行こう。
Pay Some Attention to Me
1 February 2014.
Masse
シャーロックが可哀想な話っていうリクエストだったのでこうなりました笑.
凛子様、リクエストありがとうございました! :)