short | ナノ
Actor : L.Evans/R.Armitage


元彼なんて数えられない程居る、なんて言葉をいつも頭の隅に置いておく。

だからこれからも数えられない程付き合うかも知れない、だから今の恋なんて直ぐに終わって忘れられる。

次があれば、俺にはまたその次があるんだ。

なんて思ったりして俺はこの人の隣に居る。

いつ何時、この人に捨てられても良いように。

捨てられた事なんて今までに一度もなかったが。

捨てる事が好きだったのか、捨てられる事を怖がって自分が先に捨てていたのかは分からない。

告白なんてしなかったのに。

告白される事が好きだったのか、告白して断られる事を怖がって告白しなかったのかは分からない。

まるで彼が人生初めての恋人みたいだった。

だから怖かった。

でも俺はこの恋に素直に、自分に素直になってここまで来た。

賭けだった。


「…ルーク?」


ソファーに座って本の頁を捲るリチャードの手を掴んだ。

彼の小指の糸に繋がってるのは誰なのか。

そんな事を必死に考えた事もあった。

勝手に不安になって、彼を見て、ああ、まだ俺は子供なんだ、と思って止めるの繰り返し。

でも一度考えると中々抜け出せない物で、自分じゃなかったら。

自分を通り越して違う誰かの糸だったら。

こんな事今まで考えた事なかったのに。

只の迷信だろ、なんて言っていたんじゃなかったか。

好きになった事を後悔した事は今までに沢山ある。

これが後悔とは言えるのかどうかも今は分からなくなって仕舞った。

全く先が見えないんだ。


「ーー疲れた」
「少し、寝る?」


本は読むけど彼程ではない。

俺は素早くリチャードから本を取り上げて乱暴に机に置いた。

本なんか読むなよ、俺がいるだろ。

そんな真剣に読んで何が変わるんだよ。

俺が苛々しだしたのがわかったのかリチャードは俺の方に身体を向けた。


「ごめんルーク、この間も、」
「嫌いだ。そういう所」
「ははっそうか」


人間じゃなく本に生まれて来れば良かった。

そしたら俺は彼の物になるし、ずっと一緒に居られる。

なあ、リチャード、お前はどう思ってる。

その鋭い蒼い目で俺を見ているが、案外鈍いんだな。

俺がどれだけ惚れてるか、分かってないんだ。

いや、俺自身も分かってない。

恋ってこんな物だったか。


27 December 2013.
Masse


口調を日本語で書くとわからない.
訳したら皆同じ口調になるし…(転倒)

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