short | ナノ
*長編ヒロイン


この島は天候が頻繁に変わるらしい。

さっきは暑いくらいの晴れ渡った良い天気だったのに、今ではそれが信じられない様なザーザー雨。

デパートで買い物をした帰りにそれがあったので大きな木の下にしばらく留まった。

もう少しデパートにいれば良かったと、買った物が入った袋を地面に置いて私はその場に座った。

相変わらず止むことのない雨にずっと空を見上げていた。

すると近くからおや、と声がしたのできょろきょろと見渡して見れば。


「ラフィットか」

「困りましたね、この雨」


雨が数滴ついたシルクハットを手で払いながら私の隣に座った。

すぐ雨宿りした私でも相当濡れているのに、なにしたらそんな数滴で濡れずに済むのだろう。

聞こうとしてもやめた。

また超人的な言葉が返って来るから。


「航海士でしょ、どうにかしてよ」

「ホホホ、私はそこまで超人的ではありません」


もしかして心を読まれたかな。

まぁそんな超能力あったと聞いても別に驚かないけれどね。


「今までどこ行ってたの?
東側から来たみたいだけれど」


シルクハットを頭に被れば、ラフィットは血がこびりついたステッキを私に見せた。

あぁ、わかったわかった。

これもいつものことだから別に良いけど。

もう好い加減慣れたしね。


「ログは明日にはたまりますが、裏道には近寄らない方が良いですよ」


こうやって危ない場所は私が事前に調べているんですよ、とゴールドのイヤリングを揺
らしながら笑う。


「わざわざ戦えない私の為に?」


そう冗談ぽく言えば、いつの間にか雨は止み、また暑いくらいの晴れ渡った良い天気になっていた。


「えぇ、そう言う事になりますね」

「…え?」

「さぁ、帰りますよ。
雨も止みましたし」


口をぽかんと開けた私を置いて行くラフィットに私は慌てて駆け寄った。

それってどう言う意味とは聞かない。

わざと気づいていないふり。

ありがとうなんて言わない、恥ずかしいから。

そんな思いも隠して、私はラフィット隣に自然と並んだ。


16 November 2011.
Masse

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -