short | ナノ
夏だと感じさせる明るい日差し。

温かい風に靡く木々。

それによって香る木々の匂いが私達の空間を通り抜けていく。

嗚呼、夏だ。

夏というのはこんな季節だったか。

葉は蒼く、葉は燦燦と照らす光によって命を与えられている。

そして私達の為に背伸びをして陰をつくる。


「気に入った?」


この場所、君に来て欲しかったんだ、とマシューは言った。

木陰にふたり、寝転んで。


「気に入ったよ」


聞こえるのは揺れる木々の音。

良かった、とマシューは近くで笑った。


「仕事で中々会えなかったから」
「気にしてないのに」
「結構拗ねていたじゃないか」


くすくす笑うマシューにまあね、と心の中で言う。

大人げないと思ったから言わなかっただけ。

でも本当は凄く不安で、淋しかった。


「サラ?」


マシューは余程私が怒っていると思ったのか、顔を覗き込まれた。

視界には整った顔をしたマシューだけが映る。


「ねえ、キスして」


マシューは少し笑って、私に優しいキスをした。

ずっと、こんな日が続いたらいいのに。

私は密かに心の中で祈った。


15 August 2013.
Masse

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