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*I can't take my eyes off from youの続き


軽い足取りで廊下を歩く。

今日も晴れた良い天気だ。

私は今からガープ中将のところへ行って稽古をつけて貰う。

とても厳しい人だけど、私はこの稽古の時間が好きだ。

ぐっと刀を持つ手に力が入る。

少しでも前に進まないと。


「?」


中庭を通った時、誰かベンチに腰掛けていた。

もしかして、と思うも予想は的中し、私は中庭に足を踏み入れた。

背凭れに大きな剣を立てている。

あんな大きな剣を持っているのは世界でただひとり。


「こ、こんにちは」


この前の会議で初めて会ったのを思い出す。

後ろから私が来ることをわかっていたのか、偶々起きていたのかミホークは顔を上げた。

金色の鋭い目に思わず心臓が鳴った。


「あぁ」


ミホークは静かにベンチから立ち上がり、大きな剣を後ろに差した。


「主の名前は何という」


そう言われ、ミホークを見るとその金色の目はさっきみたいに鋭くなかった。

この目は、あの会議で目が合った時の目だ。

私は今、この人の瞳に映れているのではないか。


「…サラです」


情けない声だった。

変に緊張して、みっともない。

でも同時に嬉しかった。

その嬉しさを噛み締めてふと笑って見せると、帽子を深く被っていた世界一の大剣豪は笑ってくれた。


「そうか。また来る」


思いがけない言葉にどう返事をすれば良いのかわからず、私はただその場に突っ立ち、去って行くミホークの背中を見ていることしか出来なかった。

やっぱり綺麗な瞳だったな、と思っていると後ろからガープ中将の怒鳴り声が聞こえた。


(平凡な名前が、少しでも愛せた)


7 August 2013.
Masse


地味に続いてしまってごめんなさい.

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