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はたして失恋したのだろうか。

いや、思いっきりしたのだが実感がない。

こころをどこかに置き忘れたみたいに。

今まで失恋などに無縁だった為、この数日間くびを傾げていると、上司のスマイリーにそのことを見透かされ、若いな、とだけ言われた。

おまけにターにも似たような(ただ覚えていないだけなのだが)ことを何度か言われ、結果失恋したといえる。

相手は俺の一つ年上の英国情報部員で、今まで周りが寄ってかかって来たのに、そのひとは例外で逆に出し抜かれたといっていい。

スマイリーと一緒に任務にあたることが多い為、話す機会はたくさんあった。

何度も食事したこともあるし、アプローチはするだけした。

周りには見え見えだとか言われたがこっちは必死なんだ兎に角。

秘書のメアリーに何かもの言いたげな顔をされたことも何度もあったが眼中になかった。

兎に角あのひとを落としたくて、先日、一緒に食事をしたあと夜景の綺麗なところで(あのひとの整った横顔ときたら!)、心を込めて告白した、つもりだった。


「あなたに出会ったときから好きでした。僕と付き合ってくれませんか。後悔はさせません」


なのに。


「ごめんなさい、えっと、私あなたの名前知らないの」


えーなんだっけ、ジョンくん?パーシーくん、だっけ?

サラさん、ピーターです。

もう俺のこころはズタズタで泣き出しそうになりながらそう言えばさっきの告白がなかったかのように、いつもの流れでそれぞれ別れた。

スポーツカーに半ば八つ当たりしながらアクセルを思いっきり踏みつけて、どうせ今日もアンは家出中さ、と吐きながらスマイリーの家に押し寄せた。

そのときのスマイリーの顔といったら何もかも分かったような顔で、わかるよ、と言われ、泣いた。

そのときにふられた場面の詳細をスマイリー言ったら、次の日サーカスのメンバー全員にスマイリーに言ったことが出回っていた。

勿論ターにも。

一番ターにからかわれたが、他のサーカスのメンバーは同情なし。

サラさんを見れば相変わらずの仕事っぷり。
それは今日も変わらない。

やっぱり年下、駄目なのかな。


26 March 2013.
Masse


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