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今日は天気がよかったから朝から一人で散歩がてら買い物に来ていた。

誰かさんが冷蔵庫を死体置き場にしているせいで一週間分の食料を保存出来ないから、わたしがこうやって頻繁に買い物に行く。

料理は寧ろ好きな方だから別にいい。

ポケットから今週の献立を書いた紙を取り出し、わたしはカゴに次々と材料を入れていく。

まだ朝だからパンとか売り切れてないなぁ、パンも買っておこう。



**



両手で抱えるように荷物を持ってとぼとぼ歩いていると、ジョンと偶然出会した。

ジョンはわたしを見つけた瞬間、駆け寄ってくれて荷物を持ってくれた。

やっぱりジョンは優しいなぁ、優しくないところを見たことがない。

二人で楽しく喋っているとあっという間にベイカー街に着いた。

家に入ると、案の定シャーロックは考えごとをしているようでわたし達を視界に入れなかった。

わたしは食料を冷蔵庫に入れ、仕事に行くジョンを玄関まで見送る。


「今日の晩ご飯なんだい?」
「えーっとね、オムレツ」
「じゃあ早めに帰って来るよ」


ジョンは照れくさそうに笑うものだから私も嬉しくていってらっしゃい、と手を振った。

今日はいつもより愛を込めようか、とるんるんで二階に上がり、ソファーに座り料理の本を手に取った。


「おい」
「なにー?」
「ほら、」


え、なに、と本から目線を外しシャーロックを見れば、手には小さな花束が握られていた。

いまいち状況が掴めなくて黙っていたら、花束を押しつけられた。


「礼だ」
「え、なんの?」
「…いつも作ってくれているからその礼だ」


相変わらず目は鋭かったけれど、わたしは思わず口元を緩めてしまった。


「夕飯の時、テーブルに飾るね」
「ああ」


こういうのに慣れていないのかシャーロックはわたしに背を向けるようにしてソファーに横になった。

不器用な恩返し、シャーロックらしいね、と思いながら可愛らしい色の花を見た。

それはとても甘い匂いで。


11 February 2013.
Masse

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