「どこへ行かれるのですか?」
ボルジアの勢力が勢いを増すばかりのある日。
エツィオとこの前まで共にいたがもうそろそろ自立しろと狐に言われたのが我に返ったらしい。
だからこれからはギルドも増やし一人前のアサシンになると決めた。
この安全な隠れ家を1人で出るとなるとやっぱり緊張するな、と思いながら扉の前に来てマキャヴェリさんに声をかけられる。
ぱっと振り向けばさぞ不思議そうな顔。
私が罰が悪そうな顔をするからマキャヴェリさんが質問を変えた。
「エツィオはどうしました?」
「えっと…別々に行動しようと思って」
それは急ですねと手を後ろに組んで近くに置いてあった鳥籠の中の小鳥をじっと見つめながら言った。
頭の良い彼のことだ、何か言われるに違いない。
そう思うとなんだか自分が馬鹿に思えて早くここから逃げ出したいと思った。
「あぁ、シルヴィア」
急に表情を変え笑顔で私を見たマキャヴェリさんに全くこの人は自分のペースに巻き込む人だ。
いつも難しそうな顔をして本やボルジア破滅のことしか見ない人なのに、たまにこう言うのがぽろっと出る。
こんな表情をするのは自分の前だけだったら良いのになぁ、なんて。
「この小鳥を持って行きなさい」
そう言ったマキャヴェリさんは鳥籠の中から青色のきれいな小鳥を掴んで、そっと私の肩に乗せた。
「何かあればこの小鳥を手紙代わりにしてください。
この小鳥は私とあなたのところにしか行きませんから」
「え、でも」
「あなたの為なら、私は喜んで行きますよ」
ははは、と冗談可笑しく笑うマキャヴェリさんを見て私は真っ赤。
そ、そそそんな事言われたら逆に気まずくないですか!
マキャヴェリさんに吊られてこの小鳥もピッピピッピ鳴くものだから私も笑っとこう。
「ではまた、シルヴィア」
「行って来ます、マキャヴェリさん」
14 November 2011.
Masse