彼方の休日


どうしても自分を生かすための意味と道具が必要だった。
あっけらかんと、かつ、もっともらしい体裁を整えた素振りで、いつも何かしらをかたわらに据える。
いつからか染みついたそんな癖が加速して、行き着いた先は、いのちあるもの。
私が食事を与えなければ、場を整えなければ、案じて見守らなければ、きっとたやすく死んでしまう。
対象への責任と義務は、そのまま自分にはね返ってくる。
うさぎの前に、ちいさな植物で試していた時期がある。
名前までつけて、癒されるとか、いとおしいとか、それらしいことを言いつつも、本心はただ罪悪感をまぎらわせたかっただけなのだ。
うさぎを迎えてからしばらくは、エサもトイレ道具も、多めに買うということができなかった。
私のことだから、どんなに気を配っても、すぐに許されない失敗をするのではないか。
本当に、ほんとうに、かわいいので、そのぶん恐怖も大きかった。
当たり前のしつけも、うさぎ専用の日記も、私に万一のことがあった時の引き継ぎのため。
愛玩されているのは私のほうだ。
今では必需品の買いだめも大胆にするし、かなり大雑把に世話をしている。
4歳の誕生日を境い目に、ごく自然な寿命の逆算を無言で唱えながら。


ホリンへの思いの丈
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