一言なのに長いのだから作文はなおさらだらだら、
そのてん手しごと感想お知らせはだいぶん短め。


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たまには女の子な話。わたくし、シャンプーといえばもっぱらアジエンス(しっとり保湿タイプ)を愛用して参りました。たぶんここ十年ぐらいはアジエンス一筋だったのではないか。理由としては、特に変える理由がないから。それ以前に使用感も香りも当然ながら好んでいる、これは重大な要点である。いくら惰性でも肌(この場合は地肌)に合わなければお別れしなければならない。そもそも次はない。が、このたび詰め替えを注文しようとしたらばまさかの在庫切れ。脊椎反射で我が血管も同時に切れそうになったがひとつ深呼吸したのち、そういえば電車で視界をかすめたシャンプーの広告が素敵だったな、と思考の切り替えに難なく成功。世は情報化社会、ごくわずかな単語で検索しただけで正体は知れた。ダイアン。ただ問題はそこからであった。一口にダイアンと言っても種類があまりに豊富で選別は難航を極めた。何とかなんとか決定に至ったその名はモイストダイアン・パーフェクトビューティー・エクストラシャイン。戒名にしたら馬鹿みたいに高額なんだろうなあ、と感慨にふけってしまうくらいその時の私は疲弊しきっていた。美容院選びも実に実に難儀なものだが、シャンプーとコンディショナーの一組だけでここまでしてやられるとは。それだけの戦果、期待させて貰おう!(ちなみに決定打はその時期のみ設定されていたセット価格)というわけで昨日からこのシャンプーを使用している。良いです。とても良いです。オイルシャンプーだとか細かいことはさておき、香りが何ともわたくし好み。最初の数秒こそ長年なじんだアジエンス特有のオリエンタルノートと違いすぎるフローラル・アンド・ベリーの甘さに激しい違和感を禁じ得なかったものだが、コンディショナーを洗い流す頃には目を閉じて香りを堪能するまでに。一人暮らしゆえ断言はできないものの、ほのかに香るので食事などの邪魔にならず、良い意味でさほど長続きもしないため翌日に響くこともない。何より、女の子になった気分になれる。これは大事。恵まれているとか幸せとか、そういった下手を打てば高尚になりかねないものではなく、包まれているというか、ときめくというか、はしゃぎたくなるというか。上機嫌というか。年甲斐もなく、そんな感じ。ここ数年めっきり離れてしまっているがもともと香水を愛でていたこともあって、香りによって引き起こされる感情や記憶には文字どおりちょっと鼻がきく方かもしれない。このシャンプーによるそれは未だ精製されていないけれど、こうして文字にとどめたくなるくらい良い気分になった時間は間違いなく大切な一部となることだろう。ともかく、しばらくこの香りで夜を過ごせるなんてただもう単純に嬉しくて仕方がない。そんな今の私であるが、実はもう一つ気になっている香りがある。それは万年筆のインクの香り。来年の手帳に使う主たるインクの色はブラウン系と決めつつあるものの、モイストダイアンシリーズの如く細かい選択肢の中であえなく迷子に。だが、しかし、これはというものを見つけたかもしれない。モンブランのトフィーブラウン。色味ももちろん私の理想にかなり近いのだが、かてて加えて、どうやらこれが独特の香りがするらしい。まさかお菓子のタフィーのそれではなかろうが、そんな話を聞いてしまったら試さないではいられない。香りはインク瓶を開けた時に漂うとのこと。つまり、ついにカートリッジではなくインク瓶に、コンバータに手を出すのか。開けて、浸して、くるくる吸引するのか。ひっくり返す覚悟は常備してある。これもまたシャンプーと同様、退きはせぬ、いざかかってくるが良い。それにしてもモンブランのインク瓶はカメラを彷彿とさせてくれて、それだけでもうわくわくしてしまって、いても立ってもいられない。

171009 0121
一言


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とても好きな作家さん、カズオ・イシグロ氏がノーベル文学賞に選ばれたとのこと。基本的に賞といったものにはあまり興味がないのだけれど、これは何とはなしに嬉しいなあ。おめでとうございます。これを機に氏の全作品の読破に挑戦しようか。それとも愛読書の再読か。『日の名残り』『わたしを離さないで』『わたしたちが孤児だった頃』などなど。どれも孤独で寂しさに近しい静謐が漂うのに、記憶を満たす光は一様に美しい。『日の名残り』をはじめて読んで涙した十代最後の初夏のあの日も、そういえばアパートの窓から流れこむ陽の線上に私はいたのだった。改めて、もう一度。受賞、おめでとうございます。これからもどうかお健やかで、あなたの内にあるまばゆい世界を静かに開いて行ってくださいますように。

171005 2230
一言


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自分だけの時計というものを持つようになって以来、必ず七分ほど針を進めることにしている。置き時計でも目覚まし時計でも腕時計でもはたまた懐中時計でも。五分でも十分でもなく、七分。理由。何となく。もはや最初にどうしてそうしたかも思い出せないし、今となっては神聖な習慣と化してしまっているので元に戻す気にさえなれやしない。時々、私が席を外した折りに親切な友人知人が正確な時刻に合わせてくれたりもするけれど、申し訳なくも事情を明かした上でその場で元に戻させてもらう。その際、異議やら正当性をこんこんと唱えてくださる人物なのであればどんなに時間が合っていても残念ながら相性は決定的に合わないのだと思い知ることになる。ここ数年は縦に盤面が二つ連なったデザインの腕時計を使用していて、下側はイギリス時間に設定している。もちろん、七分ののちに。まれにその二重の間違いを指摘されるが、説明すると身を乗り出して興味を持ってくれる人と、なかばふんぞり返り非効率性を軸としたお説教と説得をおっぱじめる人、おおむねどちらかに大別される。さながらモーゼを前にした海のごとくぱっくりと。当然ながら後者の話に対して私はほぼ聞く耳を持たない。持ちたくないのである。私のこれはこだわりと言えばこだわり。でもくだらないと言われたら確かにその通り。でも私のものなんだから好きにしていいでしょうとしか言えない。軽蔑してくれても一向に構わないので理にかなわないつまらないことをしてるんだねと捨て置いていてくれればいいのに、どうしてだか正したがる人が少なくない。あの人たちはいったい何を怖がっているんだろう、と私からすれば不思議で仕方がない。見た目だけの七分の未来。意味も得も損もない七分の違い。ただ、それだけ。それだけのことなのに、そんなことは意外にも世の中にあふれている。できるだけ世界と折り合いをつけようとはしているぶん、そこの住人とはゆるやかな距離でいられたらいい。ほんとうの七分後も、正義より心地よさを、互いに自然にまとっていられたらいい。

171005 0010
一言


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最近、とあるお店にお世話になる機会が増えた。その名もミスタードーナツ。高校時代は入りびたったものだわ、という感慨はさておき、私が利用する店舗は入り口を中心にして短い通路があり、その左右に一人席が並ぶ構造。恐らく何てことのない、最もよくあるかたちだろう。しかしである。一人席とはいえ椅子は二つ設置されている。つまり厳密に言えば二人席である。そして私は毎回かならず違和感をおぼえる。何故、どうして、みなさま通路に向いてお座りになるのです?これが、壁側の椅子はソファ仕様であれば話はよく分かる。だがそうではない。二つの椅子はまったく同じただの椅子なのである。周囲に倣い壁を背に座ると通路を隔てて対岸の方と向きあう事態になる。その様相たるや、数メートルの恥じらいのもとに進行するお見合いの如し。それが言い過ぎだとするならば合コンにたとえても良い。ドーナツを手にとる前に私は訴えたい。ためらうことはない、壁を向いて座ろうよ。どうせスマホやタブレットをいじるなら壁を向いて座って自閉しようよ。背中あわせの方が何となくロマンチックじゃあないですか。だから私は勇気りんりん一人だけ通路側の椅子に座るわ!だからってみんながみんなそうすべきだとも思わない。好きにすれば良いのよ。さあ心のままに。ここから自由の第一歩。と思いはしてもそんな妙なところで反骨精神をあらわにするのもどうかと我に返り、結局のところ私も壁際の椅子に腰をおろす。しかしやはり何ともしっくりと来ない。ドーナツをかじりながら誓う。次こそは、次こそは水が流れるような自然な仕草で通路側の椅子に座ってみせると。どれだけ奇異な目で見られようとも咎められるいわれなどないはずだ。そもそも壁側の椅子に荷物を置く方が防犯上も理にかなっているはず、だが、理由とか意味とかどうだっていい。もう他者には見えない友人が壁側を占めている設定でも構いやしない。私は、あっちを、むいて、もくもくと、ドーナツを、むさぼり食いたい。なんとなく。ただそれだけ。自分でもさっぱりわからないけど、本当に、それがすべてなのである。この衝動、我ながら面倒なのでゴミの日にでも捨ててしまいたいがどうやらそうも行かない風。さあどうする。

171001 0003
一言


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吾輩に猫が来た。
名前はまだない。

それも夕方までのこと。昨日から一晩を越えて約一日の名なしさんであった。
いろいろと迷った末、ニナルウなる珍妙な名づけになったが、ほぼ「ニーナ」とお呼びしている。女の子。
猫と暮らすという永き夢がかなってしまった。
今はひたすらに現実。猫に飼い慣らされまくっている。可愛い、可愛い。可愛い。

もちろん、我が愛しのうさぎホリンも最強に愛らしい。
うさぎと猫を同時にお世話して、かつ健やかに、しあわせに暮らして天寿をまっとうしてもらう難しさの前に本気で震えているが、はじまったことは終わりまでつづく。
ためらっているひまは、ない。

それにしても可愛い。いとしい。愛らしい。もう、どうしよう。ともかく、これからはニーナ(ニーニャとも)もよろしくお願いします。

170918 0152
一言、我が愛しの猫ニーニャ。


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