それとはまったく関係ない言葉だけれど、ふと思い出した。
ドラマの「きらきたひかる」で、深津絵里が誰かとの口論の末、「誰もいない森で木が倒れたら、そのとき音はするのか。君にはそれが聞こえるって言うのか」と皮肉まじりなセリフで黙らざるを得なくなる場面がある。
今になってようやく知ったのだが、これは有名な命題だそうな。アインシュタインも答えにつまったという逸話を小耳に挟んだ記憶がある。
さて、ドラマでは、この回の締めくくりに深津絵里が鈴木京香にこの問いをまわしていく。
鈴木京香はしばらく黙ってから、こう答える。
「私なら森に行くわね。木が倒れる瞬間に居合わせて、見て、聞こえるかどうか、確かめる」
このドラマの中では最も理性的に描かれている鈴木京香。その彼女がこんなにも柔軟な返しをすることに、人の複雑さをかいま見たようで、なんとも言えず感心したものだ。
そこへ行ってしまうと「誰もいない森」ではなくなるので、そもそもの答えになっていないのだが、単純な好奇心がすべてのはじまりや続きになるという真理を感じさせてくれる。

あとは、アプリ版ドラクエ4にて。
「人間の心は悲しみや憎しみで闇に染まっていきます。
でも、この世に生まれたときは、誰もが光に包まれていたのです」
PS版でプレイした折りにもこのセリフは強く心に響いた。リメイクされる前から語られる言葉なのだろうか。追加ストーリーの伏線とも取れるので、純然たるオリジナルには存在しなかったとしても不思議ではない。
いずれにせよ、シンプルで、良い一言である。本来のドラクエ本命プレイヤーたる子どもたちの心に少しでも永く残っていてほしいと切に願う。

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一言


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