こいつ、激しく邪魔。
朝起きると見慣れた奴がいた。いた、っつぅより跨ってた。そう、俺の上にだ。

「何してんだ」
「襲おうと思って」
「殺すぞ、ゴルァ」

そう言うと俺はこいつを退かせ、体をむくりと上げた。隣でぶつくさ「キッドさんの馬鹿…あほ…くそレッド」と文句ばっか呟いているが、早朝だ。怒る元気も無ェ。それに昨日は宴だった、頭も痛ェ。起き上がる気力もなく、またベッドの上に寝転がる。

「寝るんですかー?」
「まだ早朝だ。」
「寝ないで下さいよー」
「うっせェ。こっちは眠ぃんだよ」
「襲っちゃいますよー?」
「知るか、もう黙れ」

そう言うと俺はまた眠りにつこうとした。すると首に何やら柔らかいようなくすぐったいような感触が。目を開けてみると意地悪そうにニヤッと笑いながら顔を近づけてくるこいつがいた。俺が目を開けたと同時に頬に手を置いてきた。

「何してんだ」
「襲ってるんです。って、あ、まだ途中経過ですから襲おうとしてるんです、ですね」
「どうでもいい。早くどっか行け。」
「嫌ですー。今日こそはキッドさんを我が物に」

そう言うと今度は腰に手を回し、キツく抱きついてきた。そして胸板に顔を押し付けるとスリスリ頬ずりをしてきた。やめろ、と言おうとしたとき、こいつが何やら小さな声で話しているのに気付いた。

「………か?」
「あ?」
「キッドさんは私のこと嫌いなんですか?」
「…嫌いじゃねェよ」
「じゃあ、好きなんですか?」
「好きでもねェよ」
「またまたー、素直になって下さい」
「お前、そろそろ船から降ろしてやろうか」
「……私はキッドさんのこと好きですよー?」
「そうか」
「え、何ですか、そのめっちゃどうでもいいー的な返答」
「まあ、どうでもいいからな」
「酷い!ちくしょー、今日こそは共に愛の運動をしますよ!」
「…するか、くそが。押し倒せば好きになるってもんじゃねぇんだよ」
「今の返事する前の間は何だったんですか」
「うっせェ、お前早く部屋から出てけ!」
「えー嫌ですー」
「出てけ。じゃねェと立ち入り禁止にするぞ」
「それはもっと嫌です!仕方ない、今日はここらへんにしておきます。明日また来ますね!」
「もう来んな、馬鹿野郎」
「いつまでも来ますよ!キッドさんが私のこと好きになってくれるまで」
「一生ならねェから大丈夫だ」
「なりますよ、いつかきっと夢中にさせます」
「いいから早く出てけ!」

俺がそう怒鳴ると同時にあいつは部屋を出て行った。何なんだ、全く。朝から体力使っちまったじゃねェか。『いつかきっと夢中にさせます』、か。もうなってる、って言ったらどんな反応するんだろうな、あいつ。全く……俺があいつに部屋立ち入り禁止令を出してない時点で俺があいつに夢中だってこと分かれよな。


きっと夢中にさせるから



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キッドで「きっと夢中にさせるから」。
絶対に振り向かせてみせる!様へ提出。
(20100921)






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