孫と大天狗 3/3



「だけど田沼、住職に相談しなくて良かったのか?」
俺は田沼にそう問いかけた
田沼は寂しそうな笑みを浮かべると
「父さんがいつだか言っていたんだ"もし何か力を持つようになったら私に相談しないで良い。それを受け入れなさい"って…
それは多分天狗になると言う事を分かってたんだと思う」
と答えた
そして今の田沼のように寂しそうに微笑む住職が頭に流れる。
なるほど。田沼は父離れしたって事なんだな
俺は祖母離れもクソも無いけど…

「そうか…田沼はそれで良かったと思う?」

俺は田沼にまた問いかけた
田沼はコクッと頷くと何かを決意した瞳で
「これでやっと父さんを、多軌を、夏目を、色んな人を守れるんだからな」
と答えた
田沼は強いな
俺はそう思った
俺が力を…友人帳を手に入れた時もこんな感じだった気もする
未だに気持ちは変わらないけど妖怪達と祖母の絆が俺の手で薄れたり、妖怪達が消えていってしまうのを見ると切なさを憶えた
田沼もそうなんだろう

俺は田沼をぎゅっと抱きしめた

田沼は動揺した

「なぁ」

そう呼びかける
田沼は俺の背中を親のように撫でながら「ん?」と聞き返した

「俺たち、まだ友達だよな?」

「当たり前だろ?」


そう微笑む田沼を感じた瞬間

初めて
初めて
妖怪の…田沼の名前を欲しくなった







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