困惑そして



「多軌さんのこと好きなんです!!」

その言葉を告げてから俺は後悔した

多軌さんの目に困惑の色が浮かんでいたから



―――――

「はぁ…もう死にたい」

机に顔を乗せながら呟いた
夏目は眉をハの字に下げながら「どうしたんだよ」と問いかけてくる
此奴に悪気はないことはよく知ってる
だけどなぜ夏目のその純粋な疑問で俺は心を痛めるんだと逆に疑問をもちながら遠くを見る
言えるなら夏目にも相談したい
だけど多軌さんは夏目の(どういう関係かは知らないが)友達だし
多軌さんからも相談を受ける可能性があるだろう
挟み撃ちにするのは可哀想だろうと思って俺は絶対に言わない。
それにあいつ、俺と北本に言ってない秘密があるみたいだし。
お互い様だろ。
そう考えながら長い付き合いを持つ親友を待った


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さて、目の前にいるウジ虫をどうしようか、
放課後になってもウジウジしてる親友を見ながら一つため息
今日一日中夏目と田沼に心配かけてるじゃないか
なんて思いながら頬杖をつく
二人には用があるからと先に帰ってもらったので現在ここにはいない。
なので相談するなら今のうちだぞと視線で話しかけてみる
といっても見えるのは親友の後頭部
視線で話しかけるもくそもあったもんじゃない。
とりあえず“フられた”を訂正しておこう
彼女はフってなんかいない。
ただ“待ってて”と言っていたのだから
まぁ一般常識的に後に待ってるのは“ごめんなさい”なんだが……


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さて、どうしたものか。
友人である多軌に相談を持ち掛けられたのは登校中
夏目には言いにくいからと俺の元へ来たらしい
内容を聞いてみるとそれは案外簡単に理解できて納得できた
どうやら彼女は西村に告白されたらしい
多軌も西村の事は嫌いじゃないらしい
むしろ西村だったら良いと言っていた
ならなんで待ってて欲しいと告げたのだろうかと言う疑問が浮かんだ
その意図を理解した彼女は困ったように笑いながら答えた
"夏目君の事"
そうだ。夏目はあの二人に妖怪が見える事を伝えていない
俺と多軌には関係性があったために伝えられているがあの二人は知らない。
そして夏目は隠していたいと言う
もし多軌と夏目や多軌と俺が内緒話や内密に行動していたら例え西村だろうと嫉妬に燃えるか不安に思うだろう
多軌はソレが心配なんだろう。
だからどうするべきかと聞きたいのだろう
夏目の友人の中で夏目の事情を知ってる俺に
さぁどうしたものかと俺も一緒に頭を抱えた
これは西村と多軌二人の問題だけじゃなく、俺達5人の問題なのだから・・・・





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