「貴方を守りたい」



風が髪を撫でた
茶色くさらさらしたその髪は詰まる事を知らないのではないだろうか
彼女は肩まであるかないかくらいの髪でニット帽を被っており、
前チャックの服を限界まで閉めて居て暑くないだろうかと思わせるような服を着こなし
ズボンはショートパンツをはいていて、
裾から数十センチ下まで長いニーソを履いている
彼女付きの二人は「絶対領域」と呼んでいるらしい
いや、彼女のニーソは二人の内の一人の考案らしいが。

「京平。」

そう彼女の名前を呼んでみる
女なのになんて男らしい名前だろう
読みも「きょうへい」だそうだ
彼女はくるりと自分の方へ振り向いた
そして俺を確認すると複雑な表情を浮かべた

「お前、何で此処に居るんだよ?明日学校じゃないのか?」

そう、心配の声を上げる
俺はへにゃっと顔を緩めて

「大丈夫。明日は休みだから。振り替えなんだ」

と答えた
それを聞くと彼女は安堵の表情を浮かべ

「なら良いけど…だがちゃんと勉強しろよ?学生の本分は勉強だからな?」

と言った
彼女は元々不良だったから「あんたが言うな」と言いたいところだけど
彼女は変なところ真面目だったため、ちゃんと勉強していたらしいので言える訳がない。

「良いじゃん。あんたに会いに来たかったんだからさ」

そう口を尖らせて言うと彼女はまた心配そうな表情を浮かべて

「何だ?悩みでもあるんだったら言ってごらん?相談には乗ってやるぞ?」

と言った
悩みと言えばアンタのその鈍感さだよなんて言える訳もなく左手で持っていたビニール袋をつきだした
なんだコレとでも言うように彼女は俺とソレを交互に見た

「プレゼント。女性には花束を…ってね」

そう言って微笑んでみる

「花束って代物じゃないぞ?ソレは鉢植えだろ」

と冷静にツッコむ
本当に冷静で真面目な女性だ。
まぁソコが好きなんだけど。

「細かい事は言うなって。この花は鉢のが良いらしいんだから」

理由を伝えてみると彼女は驚いた目を見開いて

「お前が花を気にするような質だとは思わなかった…」

と言った
失礼極まりないな。俺だって花を気にするさ

「この花の花言葉。あんたに渡したいって思ったんだよ」

そう伝えてみる
彼女は繁々とその花を見ながら

「因みに花言葉は何だ?」

と聞いてきた
待ってましたと俺は満面な笑みを彼女に向けて答えた






《俺に守らせて貰えないだろうか?》






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