七夕 1/2



「七夕、もうすぐですね」

杏里のその言葉に俺と帝人は杏里の視線の先を見つめた
其処の店の前には短冊が飾ってあった

「そっかぁ、明後日だよね」

帝人は忘れていたとでも言うようにそう言い

「晴れると良いね」

と微笑んだ

「七夕って殆ど天気悪いですからね。今年こそ晴れて欲しいですね」

杏里もそう言って微笑んだ

「今年は晴れるだろ。なんてったって彦星の俺と織り姫の杏里が出逢えたのだからな!」

俺が高らかとそう言うと帝人が眉間に皺を寄せ

「えぇっ紀田君が彦星?合わない合わない。」

と否定の言葉を述べた。
俺は目を大きくしながら

「なんだとぉ?!帝人、お前まさか杏里の彦星になりたいのk――」

と叫んでみる。
想像通り帝人は顔を赤く染めると声を荒げて

「ちがっ!!そんなわけ無いでしょ?!」

と否定の言葉を叫んだ
いやはや反応が楽しい。

「ホントかな?実は杏里の彦星になりたいっとかおもってんじゃねぇの?」

そう追い打ちかけてみると

「思って無いってば!!紀田君しつこいよ!!」

と言われてしまった。
冗談だって。と帝人に謝る目の端に杏里がクスクス面白そうに笑うのが見えた
そして帝人もおかしそうに笑っていた
いつまでもこの幸せが続くようにと一人心の中で星に願った
「そう言えば仮に紀田君が彦星で園原さんが織り姫だったら、白鳥座の僕はなんだろ。」

帝人はまだ暮れ始めたばかりの空を見上げながらそう呟いた

「カササギ…ではないでしょうか?」

杏里がそう呟いた
「カササギ?」と言うように俺と帝人は杏里を見た

「天の川に橋を架けた鳥です。丁度白鳥座は鷲座と琴座の間に存在し、二つの星に向かって天の川を飛んでいるようにも見えますから…」

杏里はそう語ると微笑んだ
「カササギかぁ」と帝人は呟いた
役割を得られて嬉しいのだろう
まぁ実際カササギは俺なんだろうけど。
彦星は帝人で織り姫は杏里だ
まぁ二人のように離ればなれになってほしくないけどな
そう思い俺は一人小さく笑った。






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