「巻き込みたくないよ・・・」 首 六門+静臨静



「俺、ドタチンを巻き込みたくないんだよね。」

―――ある一人の人間に対し、俺はそう言った


なんでこの男に言ったのかも分からない。
なんでこの男かも分からない
ただ彼は高校の時から俺のことをすごく気にかけてくれていた


《顔色悪いけど大丈夫か?臨也》


《ったく無理すんなよお前ら。
…ってか二人して傷増やすなよバカ》


まるで自分の家族を見ているかという様に……。

多分そんな彼だからこそ俺はこの“人間”を巻き込みたくないのだろう…。
彼に対しては静ちゃんに対してのような恋愛感情は皆無に近い
と言うより俺が彼に恋心を抱くはずがないのだ
だって彼は俺にとって

――巻き込みたくないよ…――

“親”みたいなものだから


黄巾賊とブルースクエアの抗争
ダラーズの集会
リッパーナイトの事件
ダラーズと黄巾賊の抗争
To羅丸とダラーズの抗争
その他沢山……俺が起こしたモノ殆どに彼は関わっていた

原因が俺だと知らずに池袋で起こる事件に次々と関わっていく……。
その様子はまるで……
池袋と言う天ノ邪鬼に好かれ振り回されている瓜子姫の様……







「――だからね。ドタチン」

「俺はドタチンを巻き込みたくないんだ。お願いだから何処か旅行へ行って」

俺は彼に対してそう言った
彼は気怠そうに本を閉じると溜め息を吐いて

「やだ。」

と一言だけで答えた

「なんで…?折角平和を掴めるチャンスなんだよ!?」

俺は彼に訴えるようにそう言った
彼は興味ないとでもいう顔で

「知るか。平和は静雄にでもやっとけ」

と答えた
静ちゃんに平和をあげるって事は=俺がいない場所みたいなもんでしょ?
それは俺が嫌だから出来ない相談かな。
頭に手が乗せられぐしゃっと俺の頭を撫でた
ドタチンの手は優しく一瞬でも涙が出そうになった

「今も充分俺は幸せだしな。そう思ってくれただけ嬉しいぜ」

ドタチンはそう言いながら優しく微笑んだ
そして狩沢達の声が聞こえると

「じゃあな。元気にしてろよ。」

と言ってその場を去った
俺は静かに撫でられた頭を触ると

――やっぱり巻き込みたくないよ…ドタチン…

と心の奥底で呟いた









「どうせ気に入ってんなら連れてっちゃえばいいのに…」

誰もいない独りだけの場所で呟いた

「何で来るだけなのかな……。To羅丸の頭領はさ…」

虚しく響く自分だけの声

「……ねぇそう思わない?シズちゃん」

返るはずのない返事を待って俺は一人夜空を見上げた









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