四天宝寺の花見。 2/2 四天宝寺



4月10日
清々しい程青い空に薄紅が所々かぶり綺麗に瞳に映った
赤茶の髪を靡かせながら少年は薄紅がかった青い空を見つめていた。
背中にはテニスラケットを背負っており、これからテニスでも行くのかと思うものは少なくないだろう。
そして彼は動き出した。
草木が生い茂っており人の入る道ではないそこへ彼は堂々とはいっていった
「ぷっは」と声を漏らしながら彼は草木の中から顔を出した。
瞳には美しく舞う薄紅が一面に広がっていた。
彼は草木の中から身体を出すとそのまま腰を下ろした。
その景色は昨年、四天宝寺中のテニス部レギュラーであったものと見た景色
その時彼は花など気にせずに食欲を満たしていたが、この桜は瞳についていた
綺麗と思ったその景色。
だけど何か足りない気がする。
食べ物だろうか。確かに食べ物足りない。
それだけじゃない。それだけじゃなくて何か違うもの・・・・・・・――――――


「こないな所で昼寝かましとったんかい」
誰かの声が耳についた。
聞き覚えがあった声。最近聞くことの無かった声。
「先輩、すんません。探すの手伝わせて。」
先ほどと違う声が耳に響いた。今の部長だ。財前だ。
瞼を開けようとする。
重くて仕方ないが開かないと行けない気がした。
「お、起きたな。」
「おはよう。きんたろさん」
一氏の声。小春の声。
「風邪ひいとらんか?」
こんどは銀の声。
「たく、心配させんなや。アホンダラ」
これは謙也の声。
「見つかっち良かちゃ」
これは千歳の声。
起きないと。起きないと。


「おはよう。金ちゃん。ええ夢見れた?」


白石が優しそうな顔で微笑んでそう言った。
後ろで財前が呆れたように深いため息をついた
彼は無邪気を忘れない笑顔で、声でもう一緒に戦えないかもしれないメンバーに挨拶をした。


「おはようさん!!ご飯はあらへんの?」


謙也がグーを作って
そんなアホの子の頭を一発殴った。

綺麗だと思った光景はこれだ。






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