Lancer side


指が槍の柄をなぞる
柄の先にあるはずの刃は潰れて粉々になっている
彼は垂れた目を潤わせた
だが首を思い切り振って指で目をなぞる
そしてコンクリートの天井に目を向ける
手を伸ばしても届かないほど高い
そして足には鎖
今まで逃れようとしてないので足首に痛みはない
彼は自分の罪を理解しているのだ。
質素で血生臭い何もないような部屋に入れられたのも自分の罪だと理解していた
彼は繋がれてない右手で不運の種である泣き黒子を抓る
そしてはっとしたようにすぐに離す
錦の髪の友人が好きだと告げていたのを思い出したからだ
彼は崩れた前髪を持ち上げながら歯を食いしばった
そして自分の不運を呪った
主は悪くない
悪いのはすべて己だそう嗚咽混じりに小さく叫び
格子から見える月を見た

その月が錦色に隠れるのはあと…――――




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