冠雪を目掛けて 寒いと手のひらにハァと息を吹きかけた 微かな温もりを感じてそのまま手をこする その行為を繰り返してどうにか手だけでも温かくしようと試みた。 ――勿論さほど暖まるわけでもないが、 空からは白い雪(赤い雪がある訳じゃないので当たり前だが)がしんしんと降ってきてニューヨークの街を白く彩っている そんな景色に合わないのが自分の目の前に広がる光景で青く鮮やかな作業着を来て普通のレンチよりも一回りも二回りも大きいそれを楽しげに振り回している自分のボス 白く綺麗な街の中で壮絶な悲鳴が響き、骨が悲鳴を上げる音が響く。 常々空気の読めない人だとは思っていたが此処まで空気が読めないとは、と本を読みながら一つ溜息を吐いた 「サボるな!!」と言われるとは思うが断じてサボってるわけではない。ただ、そうボスを信じているのだ。そう言うことにしておいて欲しい そんな俺を見て彼奴なら行ける!と思ったのだろう。どうにかボスの横をすり抜けて俺に向かって鉄パイプで殴りにかかってきた それが"この目以外"で見えたのでハァ、と深い溜息を吐いて本をジャケットの大きめのポケットに突っ込んだ そして相手の呼吸を見極めて受け流す。その時一緒に鉄パイプを拝借させて頂く。 鉄パイプの持ち堪えを確認してからビビってる彼の顔横すれすれに鉄パイプを叩きつけた。 その衝撃で彼は白目を剥いて気を失ってしまったがボスの解体よりはマシだろう。 ハァ、ともう一つ溜息を吐くと今度は自分の顔を目掛けて銀色の何かが飛んできた。 それは普通サイズのレンチで犯人は誰だか予測できた 「・・・・グラハムさん、俺を殺す気ですか、」 「悲しい話をしよう。俺はただ人が頑張って解体を楽しんでいるというのにサボっていた舎弟にお仕置きをしようとしただけだ。それなのにその舎弟はそんな俺に対して殺す気ですかと尋ねてきた!これは酷い!俺はその舎弟を思って行動を移したというのに奴はまるで俺が悪いとでも言うようにそう言ってのけた!!悲しい!!悲しすぎてシャフトを解体したいと思うんだが如何か!!!」 「如何も何も途中から話おかしくなってますし解体は勘弁してください」 「わかった!倉庫に戻ったらシャフトを解体しよう!!」 「話聞いてください!!?」 ボスの冗談か冗談じゃないか判断つかないものをツッコミながら歩き出したボスの背中を追った |