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二人はここまでに500を超すほど今まで斬り倒していった
だが周りの怪異は減る様子もなく逆に増えているのではないかと思うほど居た
怪異は多分キャスターの使い魔であろうと推測する。
使い魔を召喚するには沢山の魔力が必要だ。それにこんなにも召喚するとしたら普通の魔導師でも魔力が足らないだろう
と言うことは仕掛けがなにかあるというのだろうか。
ランサーが頭を働かせながらキャスター攻略を考える
まだまだ疲れては居ないがこんなにも多い敵をまだまだ倒すとなると気が重い。
この怪異をうまく避けてキャスターを打てる方法はないだろうか
そのときふと思い出したようにセイバーが呟く
「あの魔導書だ、ランサー。」
あの魔導書がある限り戦況は変えられない。
ランサーはチラッとキャスターの方を横目で見た
怪異の先で苦しそうに眉をしかめ立つやせ細った顔をしたフランスの悪魔
その手には大事そうに一冊の魔導書が抱えられており、そこから魔力が感じられる
多分彼の宝具なのだろうとランサーは納得する。
だが、彼の手からあの魔導書を取るのは難しいのではないだろうか。
盗賊だった英雄だったらまだしも此処にいるセイバーもランサーも騎士だった英雄だ。そんなスキルもやる気もない。
ではどうするか。
セイバーは頭を捻らせながら微かに「アーチャーがあの金ぴかじゃなくてロビンフッドだったら良かった。」なんて考えてるなんて誰が知っていることか。
その時セイバーは一つ案が浮かんだ。ソレは一か八かの賭けであった
ソレはセイバー一人じゃ出来ず、ランサーの力も借りなければならない。
セイバー自身あまり彼女に危ない真似をして欲しくはないが彼女ならもしかしたらできるかもしれない
「・・・・・ランサー、このあたりで一か八か、賭けに出る気は?」
セイバーは相手を伺うようにそう言った
ランサーは小さく考えると
「根負けするようで癪だが、このまま雑魚とばかり遊んでいるのも芸がない。―――良いだろう。乗ったぞセイバー」
と頷き言った。セイバーはソレを見届けるとキャスターまでの距離を見計る。
彼は自分の策を直感で大丈夫と感じるとランサーにまた一つ問いかけた
「私が道を開く。ただ一度きりのチャンスだ。ランサー、下着を見せながら・・・・じゃなくて風を踏んで走れるか?」
「え?下着・・・?あぁ風を踏み駆け抜けるなら造作もないが・・・?」
「風を踏み駆け抜ければ大丈夫です。」
ランサーの服はスカートのようになっているので風を踏んで駆け抜ければ必然的セイバーの位置から中身が見えるのだ
ソレを伝えたら彼女は賭に出てくれなくなっちゃうかもしれない(というかセイバーにとって絶好のチャンスを逃してしまう)ので伝えないでおく
騎士王はランサーの準備を見てから剣を構える
そして高らかに誇り高き剣に一命を下す
「風王鉄槌(ストライクエア)ッ!!!」
剣を包んでいた風を一気に放ち竜巻を作る
ソレは龍王の咆吼の如く、轟然と迸る。
怪異達を風が穿ち穴が出来る。
その穴のを若草の稲妻が走る
「獲ったり!!キャスター!!!」
ランサーは飛び上がり赤い薔薇を構える
ランサーの飛び上がった位置からキャスターまでの距離は結構離れておりキャスターの急所を穿つまでに至らない
だが彼女の目的はあくまで魔導書だ魔導書が無くなれば怪異達は増えず再生しないだろう
ただ彼女の心残りは・・・・・・
「抉れ、『破魔の紅薔薇』ッ!!!!」
そう言って彼女は薔薇を放った
唸りを上げて薔薇はキャスターの魔導書の表紙に突き刺さる
魔導書の表紙を直そうとキャスターは治癒魔法を使うが紅薔薇ソレを拒む
ランサーは得意の俊敏でキャスターの元へ着くと怪異達に邪魔されぬうちに決着を付けようと紅槍が刺さっていたところに短槍刺し、紅薔薇を抜くとキャスターの心臓目掛け紅槍を刺した
反動でキャスターの手から離れる魔導書を眼の端で捉えた
セイバーは怪異達をなぎ倒しながらランサーの元へ着くとその魔導書を切り刻んだ
力なく倒れるキャスターをランサーは左手で支える
セイバーはその光景を驚愕の表情で見つめた
「かとり・・・ぬ」
掠れた声でキャスターは妻の名を呼んだ。
ディルムッド・オディナは右手でジル・ド・レェの手を握る
「もう良い。」
ディルムッドはそう呟いた
「もう必死に私を、彼女を求めなくて良いんですよ。貴方の近くにいますから」
偽った。
彼女はジル・ド・レェの妻になりすました
それは最低な行為だったかもしれない
だけど彼女はこれをやるしかないと思った
ジル・ド・レェはジャンヌ・ダルクを蘇生させようと行っていたのだろう
ジャンヌを愛していたために
だからといって妻であるカトリーヌを愛していなかった訳じゃない
もし愛してなかったら二人の共闘に顔を歪ませなかったはずだ。
ならばもう大丈夫だと伝えよう。
勘違いで思われているなら自分が伝えてやろう
ソレで気づいてももう怒らないだろう
彼女なりの賭けだった
ジル・ド・レェは光になりながらランサーの方を見て涙を流した
そしてセイバーを見て「アーサー王。勘違いして申し訳ございません。」そう呟いた
そして彼は聖杯戦争から敗退した。
彼のマスターのあの男がどうなったのかは・・・・・しらない。






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