3-8 ――――ランサー、 その声と共に彼女は「お傍に、」と近くに姿を現す。 あの後ランサーはライダーが手伝ってくれた御蔭で真名不明のアーチャーと騎士王であろうセイバーから逃れられ、一度お開きになった ライダーは「セイバーとランサー残った方と決闘しよう」と言い去り、アーチャーは「我の后になることを決め、セイバーを倒してこい」と言い去った セイバーとは「この決闘はまた今度決めましょう」と約束し、退散した。 アサシンのみ知っていることだが、皆がいなくなった後バーサーカーが姿を現し、誰もいないことに涙をのんだらしい それよりもランサーとそのマスターであるケイネスにとって気がかりなことがあった それは帰り際に出逢いランサーであるディルムッドを「カトリーヌ」と呼んだ男二人。 いや、正しくは一人が「カトリーヌ」と呼んだだけだが。 ランサーの真名は「ディルムッド」であり、まずどう間違えても「カトリーヌ」になることはない つまり、「カトリーヌ」と呼んだ男はディルムッドを他の「カトリーヌ」と間違えているのだろう。 そのカトリーヌというのは彼の発言によると彼の妻らしい。 そして彼から感じる魔力からサーヴァントであることは特定できたし、何よりマスターの魔力よりサーヴァントの魔力の方が上回っていたことにより、ディルムッドはそのサーヴァントを「キャスターである」と推測した。 そのキャスターは、ディルムッドを「カトリーヌ」と間違えたまま「また来る」と「次は荒治療する」と断言した。 そしてケイネスが呼ばれ、使い魔を放った聖堂教会からの収集 そこで言われた「冬木の殺人鬼はキャスターとそのマスター」ということ。 そしてその二人を倒したモノはもう一つ令呪をもらえると言うこと ケイネスは「何かがある」と勘づいた 勘づいただけで特に何も言う気はないし、もう一つ令呪をもらうと言うことは命令権が増えると言うこと。 まるで自分がおのがサーヴァントを信じてないという気がした だから今回は乗り気はしなかったが、だからといって娘のような存在のディルムッドを危険にさらしたくはない。 ソラウにそのことを相談してみるとランサーの事があるからか、彼女にしては珍しく考えていた。 結論は“とりあえず受けて立ってみる”に決まった どうやらセイバーもキャスター・・・彼自ら名乗った「ジル・ド・レェ」から勘違いされているみたいで、「ジャンヌ!」と付きまとわれているらしい。 男だと証明したらしいがキャスターは 「おぉぉおおぉ!!!聖処女を男にまでするとは!!神よ!どこまで彼女を苦しめるのですか!!!」 と叫んだらしい どんだけ自分の間違えを認めたくないんだ。と敵であるのに現れたセイバーは言っていたらしい ケイネスはまずセイバーが何故いるか問いただしたかったが彼の人情的にそう言うモノを討たせるわけにも行かず普通の客として迎えていた。 彼はついでというように自分のマスターであるアインツベルンのホムンクルスの旦那について愚痴って、ディルムッドに求婚してから去った ケイネスとしては何しにきてんだと頭を抱えたのだが、ディルムッドについて語れたソラウが凄く嬉しそうだったので、まぁいっかとケイネスは許した ディルムッドは恥ずかしくなったらしくいつの間にか霊体化していたのだが・・・ ――――ケイネスは口を開いて告げた。 今宵、アインツベルンの拠点に行くと。 其所にキャスターが向かっていることを知ったからだ。 あわよくばセイバーを敗退させたいと思っているからだ。 セイバーとランサーでキャスターを狙い、その間ケイネスはセイバーのマスターと交戦するという魂胆である。 ある意味正々堂々な戦いなのでケイネス的OKらしい ソラウは結構渋い顔していたが仕方ないことである。 運が良ければ一石二鳥。運が悪ければ二兎を追う者は一兎をも得ずである 一歩間違えれば自分も死ぬ羽目になるのだが、仕方ない事だと思う。 ケイネス自身死ぬ気はないし、死にたいとはおもっていない ただ、今はいち早くこの二体を敗退させないという気がしたのだ。 ケイネスはそう心に決め、青い礼装を身に纏い、白い手袋を身につけた。 ランサーに支度をさせ、アインツベルンの森へ向かうことをソラウに告げる ケイネスがアインツベルンの城へ着き、本当のセイバーのマスターと逢うまで後―――― ランサーがセイバーと共にキャスターを撃退するまであと――― |