訊きたいことは沢山有った。なんで僕を選んだのかとかその眼鏡なんだよとか。
だけどいつも問いかける前に全て頭の中から消える。
なんて気持ち悪いのだろうと鼻で笑いながらも自分が同性愛者なのだと気付かされた。
彼だけとか彼奴だけとかそう言うのもあるかも知れないけれど、少なくとも同性を好きになっているので同性愛者に含まれるのだろう。
同性愛者に対しての世間からの目はやはり厳しい物だ。きっと両親だって認めてはくれないだろう。せっかく手塩に掛けて育てた愛息子が同性愛者とか拒絶を通り越して心中を起こしてしまうのではないか。
分かっているからこの気持ちは僕だけの物にして取っておこうと決めた。
認めて貰えるはずのない物をさらけ出して拒絶されるなんて絶対にごめんだ。
それに彼奴にまで拒否されたら心が傷ついてしまう。
それが分かっているから僕はその感情をパンドラの箱に詰めた。
パンドラの箱なんて綺麗な名前だけど実際僕の心のその箱は所謂祟り場だ。触れたら穢れ、腐ってしまう。
だからこっそりと封印をかけて人目の付かないところに放った。消すとか棄てるなんて僕には出来るはずがないから。
だけど何でいつも彼はそう言うのを目聡く見つけてしまうのだろうか。
正直一番訊きたい質問だ。
僕は上手く隠しているつもりなのに何故彼は直ぐに見つけてしまうのだろうか。
彼の人生を壊したくないと願っているのに、なぜ彼は気が付かないフリをしてまでその心に触れようとしてくるのだろうか。
一番聞きたくない言葉を貰ったとき、僕は目から大粒の涙がこぼれ落ちた。
パンドラの箱に入っていた宝石は見る見るうちに毎回の如く外へ溢れだした。
それは僕にとって災いの種なのに、竜持は僕にとっての幸せですといって微笑んだ。


一番聞きたくなかった言葉
――僕も君に対して同じ感情を持ち合わせています。
傷ついても良いくらいに。――


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呟きにてさなさんの誕生日に捧げた物




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