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ケイネスは回転が通常より少し遅くなった頭で今の状況を整理し始めた

まず、ランサーに誘き出されたのはセイバーのランクを授かったサーヴァント
真名はわからないが、ドレスの豪華さ、鎧の煌びやかを見ると多分王族の英雄だ
自分のサーヴァント、ランサーと互角にやり合うあたり、相当な腕前だと思う
ただそのサーヴァントは“男”らしい。
そう言えば今ニホンでは「男の娘」がはやっていると聞いた
もしやこのサーヴァント、その「男の娘」とやらなのだろうか
それも気になるがもう一つ気になるのはセイバーの後ろに立っている女性である
一つ誤解を生まないために言っておくが気になるというのは「誰であり、何者か」と言う意味である。間違っても好意的な意味ではない。私にはソラウがいる。
セイバーのマスターと考えれば簡単に済まされるがどうやらそうでもないと思う
では彼女は何者か。アインツベルンの魔術師というのはわかるが―――

ケイネスの思考はそこで止まる。
それよりも宝具の解放が先である。
ランサーと互角のサーヴァント。仕留めるにはランサーの宝具を解放した方が効果的だ。
彼はそう判断しランサーに告げた
「宝具の開帳を許す。」と
彼女は「ありがとうございます。我が主」と礼の言葉を述べると左手に持っていた「必滅の黄薔薇<ゲイ・ボウ>」を未練なくその場に落とした。
カランッと音を立て落ちた槍は決して治癒のできない傷を与える呪いの短槍で、いわば彼女の切り札である。
そしてから彼女は長い方の槍――――接触している物の魔力を打ち消す長槍「破魔の紅薔薇<ゲイ・ジャルグ>」の呪布を外す

なるほど。とケイネスはランサーの作戦に気づき、感心した
相手はランサーの宝具が一つで短い方がフェイクだと思うのだ。
そしてゲイ・ジャルグで魔力で作られた武装を無効化し、傷を付ける
たとえその後にゲイ・ジャルグの効果を見切っても、魔力で作られた武装外してしまえば今度はゲイ・ボウで治らない傷を付けるというわけだ
ただし、この作戦は一発勝負だ。
もし命を免れたとしたらゲイ・ボウの効果がバレてしまう。そしたら彼女の真名もばれるだろう
そのあとはハンデが付くとしてももしかしたら・・・・

そう考えていると彼らの耳に雷鳴のような音が鳴り響き上から巨体な男が姿を現した

二匹の荒々しい牛が牽く戦車にマントを羽織り、荒々しく立った赤い髪の毛は彼の力量がどれほどのものかが表れていた。

その男は丁度ランサーとセイバーが距離を置いて出来た間に着地した。
そして彼は両手を広げ、空に向かい遠吠えをするように叫んだ

「双方、武器を収めよ。王の御前である!」

そう叫ばれた声は大きく、まるで雷鳴が轟いたように迫力があった。

その堂々と現れたサーヴァントにランサーとセイバーは呆気にとられた
急に表れて何を言うんだ、こいつ。とでも言うように・・・・。
そして姿を現したサーヴァントはそんな二人など気にせず自ら名乗りだした

「我が名は征服王 イスカンダル。此度の聖杯戦争においてはライダーのクラスを得て現界した!」

あ、こいつ馬鹿だ。
ケイネスは元々自分が手に入れるはずだったサーヴァントを見て素直にそう評した。





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