今日も双子は悪魔でした。

今日は竜持に「サッカー遣りませんか」と言われて僕と桂は首を縦に振った。
丁度今日は塾もないことだし、僕と桂も二人でサッカー遣ろうと話し合っていたところなので断る理由が見当たらなかった
それでは放課後。そう残して立ち去る竜持の背中に手を振って見送った。
でも、竜持達双子とサッカー遣るなんて久しぶりだと思った
僕たちが入っていたサッカーチーム、桃山プレデターを一番最初に抜けたのは降矢双子だった
毎回そうだったけれどあの時のコーチとは凄く馬が合わなかったのだ。
そして立ち去り際に僕たちに寂しそうに「約束、叶えられなかったのが悔しいですね」と告げてきたのは今でも覚えている。
僕と桂にとってもそうだったけど、あの約束は双子にとって凄く影響があった様だ
正直子供の約束ですと嘲笑われるのだと思っていたが一度試合の最中約束を口に出したときの双子の目つきは今でも忘れられない
「銀河一になる。」
それは僕と桂にとっては兄のような存在の浮島兄さんと双子の従兄である凰壮兄さんと交わした約束
「桂、今日は双子も一緒だって」
桂に近づいてそう言えば桂は目を丸くしながら分かったと頷いた
正直、何もないと良いんだけど・・・。

放課後、双子に呼ばれた場所に行くと二人はすでにパス練を始めていた
遅れてごめんと駆け寄ると虎太は「大丈夫」と短く答えた。
そして視線でアレを見ろと促した
何かなと見ると金髪の子と肌が黒い子がサッカーをしていた
そして静かに竜持は言った
「彼らに喧嘩を吹っ掛けます」
一瞬理解が出来なくてへぇと短く零してからはぁ!!?と竜持を振り返った
それに竜持は小さく苦笑したように見えた
「勿論条件付きです。僕たちが勝ったら仲間に入って貰います」
・・・・何処のRPGだよと思ったのは多分桂も一緒だと思う。
虎太に頭を撫でられながらも呆れたように竜持を見ていた。
竜持はそこで、と付け足した。
何と見つめれば一つ問題があるんですと言った
「こちらは4人あちらは2人。例えこちらから1人あちらに貸したとしても正直勝ち目ないですし得点係がいないんです。」
どうしましょうか。彼はそう言ってきた。
確かにあっちは虎太並みの凄腕のアタッカーに5年の久保田以上のキーパーだ。
それに対してこちらには虎太がいて竜持がいるけどキーパーが出来る奴なんていない。
桂の場合力がなさ過ぎてつとまらないし、僕だってMFかFWでしか活かされないだろう。
じゃあどうすんのと問いかけるとにこりと微笑んで
「まぁキーパーはキーパー以外も出来ると思いますので、いっそ二人に得点係を頼んで僕と虎太君vs彼らで良いかなとか思ってます正直。」
と言った。最初からそのつもりかよ此奴ら。
「力量だけなら俺らのが上だ」
虎太は素っ気なくそう言い放った。
実際の所分からないのに良く堂々と言えるよと想いながら一つ溜息を吐いた。
本当にこの二人と一緒に住める凰壮さんが凄いと思う。
「わかったよ。早く二人で交渉してきなよ。」
僕らは得点の準備してるから。
そう言えば悪魔は笑んで「絶対勝つ」と言った。
本当にその根拠のない自身はどこから現れるのだろうか。

凄腕のアタッカーとキーパーは青砥君と多義君と言うらしい。
二人は(というか青砥君が)まんまと二人の挑発に乗せられて2対2で戦うことになった。
一番常識そうな多義君に「巻き込んでごめんね?」と言えば彼は優しそうに微笑んで「ちょうど僕の怪我の所為でチーム帰還難しかったから好都合だったよ」と言った。
どうやら怪我していたらしいが正直そんな症状は先程の練習では見当たらなかった
何処を怪我したのだろうか?
そう思いながら僕は竜持に渡されたホイッスルを咥えると始まりの合図を鳴らした
そうしてから青砥君と多義君の得点を記録する作業に取り組んだ

結果は双子のギリギリ勝利。
青砥君は本当に凄いテクニシャンだし、多義君もキーパーではあるが普通に上手かった。
最初は相手の様子見だったが双子は最後は攻撃の態勢に入った。
それも策無しのツッコミタイプのだ。
二人がそんなことやるのかと僕はその時驚いたがまぁ彼らだって遣るだろうなと結論づけてそれ以上考えるのを止めた。
考えても仕方ないことだし、双子のことを考えるのは意味のないことだ。
4人は無理矢理荒れた息を整えると桂が手渡したスポーツドリンクを受け取り飲み込んだ。
そしてぷはっと口を離すと竜持は余裕の笑みを浮かべて言った
「僕らが勝ちました。約束は守ってくれますよね?」
仕方ないよなと微笑む多義君に青砥君は悔しそうに顔を歪めた
「僕たちも元チームへの復帰は厳しかったし、いいよ。桃山プレデターだっけ。入るよ」
青砥君の分もふくめて彼はそう言って微笑んだ。
「とりあえず6人」
虎太君がそう呟いたのを僕らは拾った。
「あ、まぁ例えチームに所属していても無理矢理引きずり込むのでご安心してください」
そう笑んで言った竜持に悪魔の面影を見た。




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