初めまして、高校生です。

今年の春に2年生に上がる。
高校2年生に、だ。
今までずっとこの東京の端にある"都心の田舎"である桃山町に家族と住むと思っていた。
それが壊されたのは父親の転勤。
俺が高校生になって初めて父親が転勤を命じられたのだ。
時期は2月。
もう高校に慣れ始めて進級の準備を始める頃だ
流石にこの高校で慣れているために俺は流石に両親について行く気が出なかった。
親もそうだよなと言って俺だけが家に残る事を頭に事を進めていた。
俺今度から一人暮らしだというと親友のウキこと浮島が凄く心配してきたのだが俺は大丈夫だってヘラッと笑った
だけどやはり親も子が心配らしく、父親が自分の兄貴・・・つまりは俺の伯父に相談したらしい
すると伯父は「でしたら私の家で預かりますよ」と言ったらしい
それを訊いて父親は歓喜し、それで話を進めてしまったらしい
息子の意見も聞かずに・・・。
正直言うと彼処に行くのは、そして住むのは少し億劫だった
なぜなら、伯父の息子共・・・俺にとっては従弟が凄いクソ餓鬼だからだ
小学6年生のくせに身長は160もあって、身体も、もう出来ている
サッカーの腕前はプロ級でそれを恐れられ"悪魔の双子"と呼ばれているらしい
小学1年生の頃から奴らはもう生意気だった。俺が何度腹立て壁を蹴ったことか。
だけど父親はそんなことも知らず(と言うか父親は伯父を凄く尊敬してるみたいで)話を整えて帰ってきたのは親の引っ越しの三日前
明日から兄貴の家だからなと笑顔で言ってきたときは戦慄した
急いで荷物を作って(そう言えば家は売らないらしい)ゲームも部活に使う物もバッグに詰め込んだ
やっと作り終えたと思った時はもう午前4時で眠くて仕方がなかった。
休日でしかも部活が無くて良かったと思いながら俺は行き倒れするようにベッドへ倒れ込んだ

腹の上に何か質量を感じて目を覚ました。
うっすら見えだしてくる視界の中二つの顔を見た瞬間に俺は目を瞑ろうとした
そんな事は許さないとでも言うように双子の長男である虎太が俺を思いっきり蹴った
いったぁ!と蹴られたところを抑えようにも腹の上に次男の竜持が乗っかってる所為でそれも実行できずに歯を食いしばって堪えた。
凄く泣きたいと思った矢先にパシャッと音がして竜持が携帯を構えてるのが見えた
此奴ら殺す。
そう殺意は芽生えども実行できるわけが無く、怒るのもめんどくさくて溜息と共にその感情も吐き出した
「凰兄さん、幸せ逃げていきますよ?」
竜持がそう言ったがもう気にするのを止めた
俺が不幸になるのは確実にお前らの所為だと思う
そんな時間も経たずに伯母さんの声が聞こえて俺は「はい」と返事をした
流石に双子は母親が恐いのかいそいそと俺の周辺から撤退を始めた
正直、俺は伯母は好きな方だ
俺が中学で柔道をやり始めたのは伯母がきっかけだったし、格好いい女性だと思う
確かに恐いところはあるけれども・・・・。
伯母は俺の部屋の扉を開けて双子を確認すると顔をしかめた
「どこに行ったかと思えば。あんたら何してるの」
そう伯母が問いかけると竜持が笑顔で
「凰兄さんの手伝いをしようと思ったんです。」
と答えた。後ろで虎太も肯定するように首を縦に振った
嘘吐け、邪魔しにきたんだろ
と心の中で毒を吐きながらも
「あ、後は荷物運ぶだけなんで大丈夫ですよ。後は此奴らに全部運ばせるんで伯母さんは車に乗っててください」
と告げた。伯母はそうかい?じゃあ頼んだからと言って部屋を出て行った。
結構サバサバした性格なのもあの人の良いところだと思う
俺はそれを見ると深いため息を吐いて
「つーわけで荷物運ぶの手伝えよ」
そう言えば竜持は仕方ないですねと言った。仕方ないのはどっちだ
虎太は黙々と作られた段ボールを持ち上げた
それを見た竜持はあ、虎太君待ってくださいと近くの段ボールを拾い上げた
本当に竜持は虎太が好きだよなと思いつつ俺も荷物を運ぶために立ち上がった
「あ、凰壮。おじさんから聞いて手伝いに来たよー」
そう言ってウキが部屋に顔を覗かせた
本当に悪いと思いながらもさんきゅと言ってウキにも段ボール運びを頼んだ
一番軽いのを。
もっと重いのでも良いのにと言うウキにいいんだよ。と応えて自分も部活用品が入った一番重いのを持った。
そして何個か残った部屋を出ると足で扉を閉めた
そうしてから先を歩くウキを追いかけるように歩き出した。
車に乗せるのは双子がやっていた
流石に俺のを持たせるわけにはいかないからウキのを持ってやれと言うと竜持がウキの持っているものを預かった
そして自分が持ったのより重量が軽い事に気がついたのか竜持は車に乗せてから
「何が入ってるんですか」と問いかけてきた
下着、服類と短く答えるとウキは「そりゃ軽いなぁ」と笑った
虎太がリアゲートを閉めると早く乗るぞと短く言った
今までずっと荷物を見つめていた竜持がハッと我に返り、凰兄さん早く乗ってくださいと言った
俺はウキに後でメールすると言って車に乗ろうとした。
助手席かなと思ったが助手席には虎太がもう乗っていた。
渋々後部座席に乗った。竜持の隣というのが一番嫌なのだが
そして手を振ってくれるウキに引っ越しじゃないんだけどと思いながら手を振り替えした
伯母が車を出してすぐに虎太が後ろを向いてきた
「凰兄、帰ったらサッカー付き合って」
そう言ってきた虎太に笑いながら良いよと応える
虎太はサッカーが好きだ。とてもと言えるほどに
竜持も好きだが虎太ほどではない。
俺がやり始めたのがきっかけらしいがよくわからない
とりあえず家に着くのが楽しみになった。
車の中では虎太が勝手に音楽を変えて変えて変えまくっていて、俺は伯母の質問に答えていた。
大半がもう一回柔道やりなさいよだったが苦笑しか返せなかった
急に肩に重みを感じて何事かと目だけを向けた
竜持が肩にもたれ掛かって寝ていたのだ
俺は本日何度目かの溜息を吐くと竜持の頭を撫でた
そしてそのまま伯母さんの質問に答えていった。
竜持の顔が赤くなっていた気がするが大丈夫だろうか。



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