3-1 「ランサー」 ケイネスは一人部屋で椅子に体を預けたまま自分の従者である英霊を呼んだ すると英霊は何もいなかったケイネスの目の前に跪いたまま姿を現し、「お傍に。」と応えた 癖のついた髪を一束残しすべて後ろになで、下の方で一つにまとめてある宵闇の髪を携えた英霊<女性> ディルムッド・オディナはケイネスの元に召喚された英霊である 前世では主の婚約者である“女性”を奪い取った英雄である彼女 願わくば今度こそ主に忠義を捧げたいと言う思いで現世に降臨した 女性を惑わす魅惑の泣き黒子は未だ彼女の右目元に存在しており 今や彼女自身憎く思っている ケイネスはそんな彼女を見下ろして告げた 「明日、お前には感知されるよう堂々と街を歩いてもらう」 彼女は静かに頷いた やっと主の役に立てるときが・・・・戦場に立てるときがくるのだと彼女は表に出さぬよう喜んだ 「敵を誘い出す・・・・と言うことですね?」 確認の為彼女は自分の主に問う その主は彼女の問いを肯定すべく頷いた 「今のところアサシンが敗れている そろそろ動き出さねば全て獲られてしまう ――――準備運動をしておきたいだろ?ランサー」 彼女は嬉しそうにはい。と応えた 聖杯戦争で召喚されるのは英雄ばかり 今回召喚されたのはどの英雄だろうか、 一度で良いから得物を交えてみたいというのが彼女の本心だ そんな彼女の気持ちを見越していたのだろう主は明日についての予定を告げた 街を歩き始めるのは朝から。主はサーヴァントと遭遇したら合流すると それと宝具を解放する時は彼の許可が必要だと言うことを告げられた 彼女は明日を思い胸躍らせながら己が主に一例し、霊体化した |