1-2 ケイネスが召喚したサーヴァントはランサーのクラスで召喚された ディルムッド・オディナという名であるのだからセイバーかランサーであるのは納得できることだった ただ彼には一つ納得できなかったのだ ランサーは宵闇のくるくると癖がついている髪を後ろに流し下の方で一つにまとめている 右目元には泣き黒子がついていて女性を魅了しているのはこれなのかと実感させられる 服は一見中国の民族衣装を思い出すような感じだった 縦襟に控えめな胸の下くらいで切れていた。左肩には鎧がついていて肩を隠したら必要ないというように終わっていて、肘より下あたりから籠手がついている 下半身は革鎧が腿をを庇うように両端についていて、革鎧の下から両側が切れているスカートがある。 太ももには革鎧を安定させるためにベルトがついておりそれより少し下から長い靴下・・・・所謂ニードソックスがつま先にかけてある 足首のあたりからは革のブーツを履いており、そこは高くなってない 彼女にとって動きやすい服装なのは一目瞭然だった そして彼女は可愛いの分類に入る女性ではないと思う 言うなれば美しいといった方があっているだろう だが彼が納得できないのは服装とかの問題ではない そして魅了の泣き黒子の所為でもないのだ 彼が納得できないのは彼女の存在自体であった ディルムッド・オディナが女であるということ自体がまず納得できなかった 書物に記載されているのと違うではないかと彼は叫びたくなった いや、実際に彼女に叫びながら書物を渡したのだが さすがのケイネスでも女の子に暴力を振ることはなかったのだ 彼女は本を受け取ると中身をぱらぱらとめくりながら苦笑して言った 「記したの私じゃないですし、何より時が経つにつれ中身が変わってしまうのは良くあることではないでしょうか」 といった 間違ってはいない 確かにそうである 彼は諦めに似たため息をついた その彼の心の中では少しだけ女性でよかったという気持ちが存在していた それは婚約者ソラウと彼女の泣き黒子に関してだ 彼女の泣き黒子は意識して女性を魅了させているわけではない 一種の呪いらしい そんな彼女の泣き黒子に魅了されてしまった我が婚約者 ディルムッドが男であったなら嫉妬心が燃えて仕方がなかっただろう だがそんなディルムッドは女だ 同性に対する愛情は基本友愛と似ている だから彼は嫉妬心を抑えることができているのだ 本当に男じゃなくてよかった・・・ ソラウの着せ替え人形とかして可愛い服を着ている従者を見てケイネスは安堵のため息をついた |