HappyBirthday to my ・・・



もうすぐ10時になる頃、急に近くにあった携帯が鳴り響いた
勉強に集中していた為その音に肩を揺らした
眉を潜めて画面を見てみれば『降矢凰壮』の文字が表示されていた
早くでないとと思い、持っていたシャーペンを置いて携帯を取って出た
《勉強中悪いな》
出て始めに言われた言葉はそれだった。僕はううん。大丈夫だよ。そう答えればそうかと言ってから彼は大きなくしゃみをした。
しかもその音は何故か外からも響いてきた
もしかして、僕んちの外に居る?そう問いかければ彼は素直なものですぐにうんと帰ってきた
僕はゆっくりと椅子から立ち上がると早足で玄関に向かう
玄関を開ければ電話を耳に当てたまま開いた扉に驚いたようにこちらを見ていた
「寒いでしょ、入りなよ」
そう言えば彼は携帯を耳から外し小さくお邪魔しますと呟いてから家の中に入った
今日は自分の誕生日というわけで夕食に食べたケーキが残っていたなと思いながらとりあえず自分の部屋へ彼を案内した。
途中でお母さんに会えば彼は礼儀正しく「こんな夜分にお邪魔します」と挨拶した
お母さんは嬉しそうに微笑んで「大丈夫よ。後で何か持って行くわね」と言った。
お母さんは凰壮くんのファンなんだよなんて教えてあげたいって思ったりして
部屋の中に招き入れれば彼はベッドに腰を掛けた
「こんな時間に珍しいね。部活の帰り?」
そう問いかければ彼はまぁなと短く返した
それだけで気をよくした僕は彼の現状を知る為に沢山質問をした。
すれば彼は言葉は短いけれど律儀に返してくれた
「あのさ」
急にそう言葉を掛けられて言葉を止めた
そうしてから何と問いかければ彼は罰の悪そうな顔をしながら今日はお前の誕生日だよなと問いかけてきた
素直にそうだよと答えれば彼は何かに迷い始める
その最中お母さんが入ってきてケーキと飲み物を置いていった。
「凰壮君を虐めちゃだめよ」と言われて虐めないよーと返せばお母さんはクスクス笑ったまま部屋を出て行った
で、どうしたのと言おうとした瞬間に唇に一瞬何か当たる
何だと把握する前に彼の顔が段々遠くなっていった
そうしてからキスをされたと気がついて口を咄嗟に覆った。
正直言えば嬉しい。
これでも僕と彼は恋人同士で、彼はあまり僕に愛情表現をしない。
だから今の好意は凄く嬉しいのだ
凰壮君と彼の名前を呼ぼうとした瞬間凰壮君の言葉が重なる
僕は渋々左手を出すと彼はその薬指にリングを嵌める
え、これもしかしてと言おうとした瞬間彼はずいっと自分の左手を出した
その手のひらの中には僕の左薬指に嵌っているのと同じリングが光っていた
僕は嬉しそうに笑ってからそれを取ると彼の薬指に嵌めた
そしてそのままそのリングに口づけをした
そうすれば彼は顔を真っ赤にして顔を逸らしながらこちらを睨み付けていた
「お前良く恥ずかしいこと出来るよな」
そう言われれば君もねと微笑んだ

――Sweetheart




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