《竜持助けて―――!!》

そう電話が来た瞬間に家に帰ろうとした足の目的変更を即座にした
その所為で冷たい風が追い風になったが気にしていられなかった。
今でも翔君に付き合ってサッカーを遣っていて良かったと思った。
すぐに息切れすることもなく遅くないスピードで走れているからだ。
電話の相手の住むマンションまで着くと回りきるはずのないドアノブを回した
用心深い彼の家族は基本何処に行くときも鍵を閉めていく為に普通ならそのドアノブは途中までしか回らないはずだった
それなのにそのドアノブは突っかかることなくスムーズに回転した
ソレだけのことで背中に冷や汗が伝った
それでも望みは捨てずに思い切りドアを開いて家の中に侵入した
靴は無造作に脱ぎ捨ててそのまま一直線に彼の部屋に飛び込んだ
そうしてから息を飲んだ。
几帳面で清潔である部屋が荒れている。
床には携帯が明かりを照らしながら落ちていた
ソレを見てあまり時間が経っていないと言うことが把握された
だからといって何処に向かったなど知る術もない
嗚呼どうしようとその場に座り込んだ
今日算数部屋に行かなければ良かったのだろうか
それとも気付いていなかった彼に告げて事前に対処しておくべきだったのか
正直言えばこうなる事態は事前に予想できていたのだ
ただそれがこんなに早く、今日に限って起こるとは想像していなかった
見積もりはもっと後だった。
何が彼を襲った犯人を焦らせたのか
考える暇もなく自分だと分かった。
彼は鈍すぎて全然気がつかなかった
無言電話が彼の携帯に来ても、彼の家に彼宛で盗撮写真と気持ち悪い内容の手紙が送られてきても、犯人がヌいたと思われる白濁液の入った瓶が手紙と送られてきても、白濁液が付いた写真が送られても彼はこの事に繋がるなんて微塵にも気がついていなかったのだ。
無言電話は電波が悪いのだと結論づけていて(そんなしょっちゅう電波が悪くなっても困るし彼の電話会社は僕のと同じだ)
盗撮写真は心優しい人が撮ってくれたんだと思い(入浴シーンまで心優しい人は普通は撮らない)
気持ち悪い内容の手紙は「漢字練習の一環かな」と流しており(漢字練習で普通人の名前を書かないしハァハァハァハァとかまず漢字じゃない)
白濁液の入った瓶は変な匂いがするが白い絵の具で作った色水だろうと言っており(だとしてもあんなにどろっとしていない。どんだけ大量の絵の具を使ったんだという話である)
それが付いた写真は郵便屋さんが乱暴に運ぶから漏れちゃったんだろうねと言って笑っていた(もしそうなら手紙にも他の手紙にも被害が及ぶ)
しかも下校中に人がついてきてると分かっても彼は「心配してくれる親切な人だなぁ・・・」と言っていた(赤の他人がそこまで親切にするだろうか)
つまり彼は典型的なストーカー被害に遭っていたのだ。
だけれど彼は上手い具合にというか、今の今までそれをストーカー行為だと気がついていなかったのだ
僕が気がついた後も彼は全然全く気がつく気配がなかった。
しかも、親を含めて、だ
そんな彼だから僕は出来るだけ守ろうと思っていたのだが、なんせこの年には算数宇宙杯があった。
僕は学校からの要望でそれに出場することが決まっていて、小学生からゆうきさんという女性を含めて優勝する為に算数部屋と呼ばれる場所で夜遅くまで勉強している事も多い
それに、彼と僕の通う学校は異なっており、守ると言っても開いてしまう時間があった。
ストーカーは多分そこに目を付けたのだろうと思う。
僕は一つ舌打ちをしながら急いで同じマンションの別の階に住む二人に電話をかけた
浮島君は丁度凰壮君と一緒に翔君のサッカー練習に付き合っていたらしく後ろの方で翔君と凰壮君がじゃれている声が聞こえた。
事を説明すると彼は驚いた声を上げた(その所為で後ろの二人はどうしたと詰め寄っていたようだ)
浮島君は困った声で凰壮君に変わった後凰壮君に同じ説明をした(翔君には浮島君が説明しているみたいだ)
そうすれば彼は多分三人で頷きあったのだろう彼を捜す為に協力すると言った
僕はお願いしますと言って電話を切った
次に内村君に電話をしてみれば今度はエリカさんと西園寺さんに勉強を教えていたらしく二人のキャッキャという声が電話越しに響いた
同じように事を説明すれば彼は女子組を送った後協力するといった(結局西園寺さんは手伝ってくれたのだが、)
僕は同じくお願いしますと言ってから電話を切り、明かりが消えた植松君の携帯を拾った
そしてからギュッと握りしめてから一つの事に気がついた
そうしてから「すみません」と一つ謝りを入れてから彼の着信履歴を見た
予想通りで彼の着信履歴の中には僕の携帯など登録されている電話番号以外に何度も着信されている電話番号が並んでいた。
調べれば出るだろうと思い、彼の部屋に置いてあるパソコンを立ち上げた
そしてある作業に取りかかった。

(愛する君を助ける為なら。)
どんな手でも尽くす

――――――――――――――――――
この後ハッキングでもして居場所を追求すると思います。
その後は竜持君凄くえげつないことしそうですね・・・。





人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -