ずっと幸せに。

※子供捏造

「父さん早く早く!!」
そう言って茶色の髪を靡かせながら少女は言った。
「こけんじゃねーぞ」
ボールを脇に抱えながら少女と同じ髪の色を逆立てた男性は少女の方へ歩きながらそう言った。
「真白は行かなくて良いの?」
そう紫の髪を靡かせた美しい女性はそんな二人を見守りながら自分にしがみつく同じ髪の色の少年の手に触れながらそう言った
少年はこくりと頷くと
「ぱぱのぼおるこわいもん」
と微かな声で言った。
女性はその言葉を聞き逃すことなく苦笑を浮かべて
「パパは手加減が出来ないのね。だめなパパね」
と言った。
そして少年を抱き上げると、少年の額にコツンと自分の額を当てて
「真白はそんな大人になっちゃ駄目よ」
と可笑しそうに笑いながら言った。
そんな女性に少年は困った顔を浮かべながら
「でもままはぱぱがすきなんでしょ?」
と問いかける。女性は嬉しそうな笑顔を浮かべて首を縦に振ると
「もちろん。ママはパパがとても好きよ。勿論真白も朱理もだぁあいすき」
と答えた。そんな女性の笑顔が見れたのが嬉しかったのか少年は嬉しそうに微笑み、
「ぼくもままがだいすき!!おねえちゃんもぱぱもまつしまさんもおばあちゃんもおじいちゃんもみんなみんなだあいすき!!」
と言って女性に抱きついた。
そんな少年を女性は慈しむかのように抱き返す。
それを見た少女は「あーーー!!」と大きい声を上げた
そしてボールを男性の方に蹴飛ばすとすぐに女性の方へ駆け寄り、少年の服を一生懸命に引っ張り
「真白だけずるい!!あたしも!!」
と言った。少年は女性にしがみつきながら泣きそうな声で「やぁあ!!」と叫んだ
そんな少女に追いついた男性は少女を引きはがすと軽々と持ち上げた
そしてムッとした顔を浮かべると少女に
「俺じゃ嫌なのかよ?朱理」
と言った。少女は「うっ」と息を呑むと涙を浮かべた目で男性を見つめた
「だって真白だけずるいんだもん」
そう言う少女を男性はフッと優しく微笑み、「よし、じゃあ朱理には特別だ」と言って少女の身体を肩に回した。所謂肩車という奴だ
少女はいつもじゃ体験できない事に嬉しそうに目を輝かせた。
そんな少女の様子に気をよくした男性は「掴まっていろ」と言って走り出した。
少女は怯えることなく楽しそうにキャッキャと騒いだ
「あー!おねえちゃんずるい!!ぱぱ!!ぼくもぼくも!!」
そう言って少年は女性の腕の中で暴れた
そんな少年に向かって気をよくした少女はあかんべえをした。
それにムッとした少年は大きい声で「おねえちゃんのばーーか!!」と言って女性にしがみついた
「馬鹿とかいうんじゃないの」
そう言って女性は軽く怒れば少年はしょんぼりとして女性にごめんなさいをした。
それと同時に「真白ー!母さん!!!きてきて!!」という少女の声が聞こえた。
どうしたのかと思い、女性は少年を抱きかかえながら男性と少女の元へと歩き出した。
着けば少女は男性の肩から降りて手摺りにのしかかってその向こうを見ていた
少年も降りたがっているようだったので女性は少年をおろした
少年は解放されるや否や少女の元へ駆け寄って少女と同じようにして向こう側を見た
そして「わぁあああ!!」と声を上げた。
女性もゆっくりと手摺りへ向かい男性の横に寄り添った。
そしてその瞬間飛び込んだ景色に心が奪われた。
自分たちが住んでいる町が下一面に広がっていた。
その光景はとても凄絶で女性も小さいながらも声を上げた。
「こんな所に住んでいたのね」
女性がそう呟けば男性は答えの代わりに女性の手を握った
「ずっと幸せにする。子供達も」
男性が呟いた言葉に女性は顔を染めながら頷いた。

ずっと幸せに。
(一人にしたくないから)




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