"夫婦"について



良い夫婦とは何だろうか。
そう思うときがある。
正直"良い"とか"悪い"とか"普通"とかの境界線は曖昧だ。
あの夫婦良い夫婦だねと言われてみても俺からは良い夫婦には見えないこともあるし、あの夫婦良い夫婦だなと言って差しても相手からはそうは見えないこともある
その判断ももしかしたら個性なのかもしれない。
だけれども親はせめてわが子には良い夫婦だと思われたいんだと思う
正直言えば俺は自分の両親を"良い夫婦"だとは思っていない
寧ろ子供だけにしてしまったり、自分の意見を押しつけたり、両親共にあまり干渉しない辺り、"良い夫婦"には思えない。
だけど竜持は両親を"良い夫婦"だと言った。
何言っているんだ此奴と思えば竜持は微笑みを浮かべたまま
「だって僕たちを自立させようとしてくれたり、必要なモノは購入してくれたりしますし、僕たちが行きたい未来を父さんも母さんも否定はしません。それにお互い干渉しすぎないし、良い夫婦だと思いますよ」
と言った。
正直俺はそうは感じないし、それが良い夫婦なのか分からない
というかまずそれは本当に俺の両親なのかと問いかけたい
「あのさ」
いつの間にか近くに立っていた虎太は俺らの話を聞いてたらしく、眉間に皺を寄せたまま仏頂面で口を開いた
「それ、普通じゃね」
それってなんだよ。そう思いながらまだ続きがあると思われる虎太の言葉を待った。
「俺にはさ、うちの親普通だと思うんだよな。」
良くもなく悪くもなく。
虎太はそう言った。そしてそう言ってからあー腹減ったと言いながらキッチンまで歩いて行った。
本当に彼奴はマイペースだよな。と思いながらもふと視線を竜持に向ける
「答えが一つではないのはしっくり来ませんが」
三つ子揃って考えが違うのは面白いですね
奴はそう言って微笑んできた
俺はとりあえずキッチンを見つめて
「だな」
とだけ応えて口元を緩めた




"夫婦"について




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