紅蓮の華を、悪魔を幸せに




5月30日・・・・・・・・ジャンヌ・ダルクの命日である。
俺のうろ覚えだけど確か三国志の関羽もこの辺りに死んだのではなかっただろうか。
まぁ関羽の話は今回どうでもいい。
今回は前者ジャンヌ・ダルクについてだ。

今俺は第四次聖杯戦争というものに参加しているらしい。
なんでも魔術師達が英霊という英雄の魂を召喚して聖杯を欲する為に争うイベントらしい。
その聖杯というのは何でも願いを叶えるらしく、魔術師としてはそのイベントに参加し、生き残れたと言うだけで凄い名誉な事らしい。
とはいっても俺はタダの一般人でタダの美大生
ちょっと違うのは死について大変興味があること。
その所為で俺は人を大量に殺害して死を求めていた。
結局遠坂さんっていう貴族さんに説得されて、彼の部下である言峰綺礼さんが仕事で殺した人の死体を、(最近では俺もその手伝いをしはじめたんだけど)貰うことになった。
ついでに言えばその何でも願いが叶う聖杯が穢れていたとかなんとかでそのイベントは一時中断。その御蔭なのか衛宮切嗣さんっていう人にも死体を貰うことになった。
これでアートが作れるので俺は別に構いはしないのだけど。

そうそう。俺も自覚は無かったけど魔術師らしくそのイベントに参加することになった。
そして興味本位で"悪魔"を召喚しようと思って召喚したのがキャスターというクラス(何でも魔術師なんだとか)についたらしい青髭の旦那(本名はジル・ド・レェと言ってジャンヌ・ダルクと共に戦ったとか・・・)だった。
まぁ遠坂さんに逢うまでは旦那と楽しく人を殺してアートを作っていたのだけれど、歪んだ聖杯(?)の所為か普通は一人しか召喚出来ない英霊をもう一人召喚してしまったのだ
一番最初に彼女をみたとき聖女というのに納得するほど綺麗で俺はとっさに目を奪われた。
彼女を召喚したのは遠坂さんに会ってからで、彼女のクラスはルーラーだと言うことだけは補足しておく。
旦那は彼女をみたとき歓喜し、何度もお礼を言っていた気がする。
でもそれを俺は額縁の外から、窓の外から見ている感じだったと今此処で言っておく。
そのことにより、俺はアートを趣味程度に変えて働くことにした。
そして借りたアパートに俺と旦那、ジャンヌちゃんの三人で住んでいる。

話を戻そう。
こういう経緯により、俺は聖女 ジャンヌ・ダルクと関係を持っている(持っているとしても主従関係だが)
彼女の事と旦那のことをもっと知りたくて調べたときに知ったのが彼女の命日だった訳だ。
そして今日が5月30日
さて俺はどう反応すべきだろうか。
俺がこの事実を知ってるなんて事は彼女は知らないはず。
さて、本当にどうしようか。
ベッドの上、布団に丸まりながらごろんごろんと寝転がる
いつも通りに行くしかないよね!!!と決意を固め部屋を出たのは今から数時間前


そして今この状況はどういう事なのかなと首を傾げる
旦那が遠坂さんに逢いに行って数分、ジャンヌちゃんとただ何気なく普通に会話していただけだった。
それだったのに、彼女は俺にもたれかかって涙を流している。
熱い、熱い。
ずっとそう呟きながら。
俺は何が出来るわけもなく面白い話をして彼女を笑わせようと試みたのだが、彼女が笑う気配は一向にこなかった

「―――ねぇジャンヌちゃん」
時計を見てハッとする。
もしかして今この時間に彼女は紅蓮に包まれたのだろうか
「もう神様はジャンヌちゃんを苦しめないよ?」
俺が信じる神様。もう汚れ役買ったんだから幸せになっても良いでしょ?
「もうカミサマの声は聞こえないんでしょ?」
俺が幸せじゃなくても良いから、せめて―――――
「だったらもう熱い想いはしないよ。させないから。」
せめて、この子達だけでも―――――
「旦那の前では微笑んで?」
旦那とジャンヌちゃんだけでも―――――――
「俺の前では弱くて良いからさ」
幸せにさせてよね?
全部俺が二人の汚れ役買ってあげるから。
だから幸せにさせてよね。
"もう"裏切るなよ?

「だから旦那の前では微笑んで。俺のルーラー」




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