初の作曲体験



「竜持、もう一回さっきの所流して貰って良い?」
ドラムの前に座り眼鏡を外した植松君がそう言った
僕は先程訊いていたところまで戻してリクエスト通りその部分を流した
此処はドラムのソロだ。失敗は許されない場所。
植松君は区切りの良いところまで訊くとうんと頷いて先程のフレーズを叩き始める
ある一定の所まで来ると彼は首を傾げた
「竜持・・・ちょっと楽譜見せて」
そう言ってから彼はドラムの前を立った。
僕は彼にハイと言って見やすいようにパソコンを向けた
そして彼は画面に綴られた楽譜を見ると腕でそれをイメージで叩く
そうしてからうーんと言ってから僕を見た
「竜持、もしかしてドラム遣ったことない?」
なんでその質問を今此処でするんだか分からないが僕は正直に「はい」と応えた
すると彼はやっぱりと言うと彼が躓いた箇所を指さしていった
「竜持、此処腕が三つなきゃたたけないとおもう」
そう言ってからイメージのドラムを叩くようにまた腕を動かした。
僕はじっと楽譜を見てから本当ですか?と彼に訊いた
彼はうんと頷くと机でぐったりしている多義君を呼んだ
多義君はのっそりと起き上がってどうしたのと近づいてきた
「此処の箇所なんだけど」
そう植松君が言えば彼は食い入るように楽譜を覗いた
そうしてから彼は「あぁーっ」と声を上げると「借りるね」と言ってマウスを握った
そうしてからそこを少し変えるとそこのフレーズを流す
訂正前とはあまり変わらないが少し変わった音が流れる
「竜持くん、あそこ腕三つなきゃ叩けないかも。勝手にだけど簡単になおさせて貰ったんだけど・・・・大丈夫かな?」
そう問いかける多義君に「イメージ崩れてないので大丈夫です」と応えた。
多義君はそんな僕に対して「ありがとう」と微笑みかけてきた
そうしてから植松君を見ると「一回叩いてみて」といった
植松君はこくりと頷くとドラムの前に座りバチを振るって音を鳴らした
そうして例の箇所。
今回はつまずくことなくスムーズにいき、区切りの良いところまで進んだ
そうしてから「出来た!!」と声を上げた
そんな彼を見ながら僕は作曲も楽じゃないと溜息を漏らした。






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