チューニング



「あれ・・・・、」
急に隣で次の曲を弾いていた凰壮君が戸惑いの声を漏らした
そしてラの音を出すと「やっぱり」と呟いた。
僕はキーボードの電源を切ると「どうしたの?」と彼に近づいた。
凰壮君はこちらを見ると「あぁ」といってギターを持ち上げた
「いや、音が半音高くなってた。誰かに弄られたのかなと。通りで変な音がするわけだ」
彼はそう言ってから「チューニングしないとな」と言って部屋にあるソファーに丁寧に愛用のギターを置いた。
そうしてから自分のギターケースを開いてチューナーを探し始めた。
僕はそっとギターを持ち上げてソファーに座った
そうしてからラの音を出す。
確かに半音高い。
くいっとチューニングを勝手に行う
そうしてからもう一度ラの音を出してみる。
今度はきちんと出せてる。
そう思って凰壮君の弾いていた楽譜を見て軽く弦を鳴らした
うん。異常なし。
「お前勝手に人の使ってんじゃネーよ!!」
凰壮君はそう言ってチューナーをもってこちらに駆け寄ってきた
「何で鳴ってんだろうと思ったら・・・」彼はそう言いながら僕を睨んだ
僕はあははと笑いながらごめんと謝ってギターを返した
凰壮君はムスッとした表情のままチューナーを使ってチューニングを始めようとした。
だが弦を鳴らした瞬間眉間に皺を寄せた。
そうしてからまた弦を鳴らす。
僕は知らんふりをしてキーボードの電源を入れた。
そうしてから楽譜を指でなぞり鍵に指を掛けた瞬間「浮島!!」という凰壮君の声が聞こえた
僕は小首を傾げながらどうしたのと問いかけた。
もしかしてチューニング失敗していた?
「なんでお前チューナー無しにチューニング出来てんだよ!!?」
そう叫ぶ彼に僕はあぁと声を漏らした
そうしてから自分の耳を指さすと告げた

「僕、絶対音感持ちなんだ」

数秒後室内に凰壮君の叫びが響いた。





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