雁夜の誕生日




「雁夜、今日君の誕生日だよね?」

学校の帰り際に寄ったゲームショップで買うゲームを迷ってるとき、不意に幼なじみにそう言われた
は?と聞き返すと彼女は恥ずかしそうに「だーかーら!」
「今日は君の誕生日だよね?」
と再度言った。
確かに今日は俺の誕生日だ。間違いない。
それがどうしたというのだろうかそう思って彼女に向き合った。
男勝りな自分と違って彼女は女の子らしい
もしかして俺へのプレゼント、何が良いのか思いつかなかったのだろうか
いつも律儀に用意してくれてる彼女である。あり得ると言えばあり得る。
だが俺の場合男物の何かを買えば喜ぶことを彼女は知ってるはずである。
それに今まで忘れていたと言っても彼女なら余裕を持って次の日とかにプレゼントを渡してくるだろう。まぁそれについては余裕を持たれても困るのだが。
では今回はどうしたのか。
疑問に思って尋ねてみる。彼女は恥ずかしそうに(そこが可愛らしい)周りを気にしながら俺のブレザーの裾を掴んだ。
「・・・・雁夜最近やりたいゲームが買えないって言っていたよね?だから誕生日だし私がソレを買おうかなと思って・・・」
彼女らしいと思った。
彼女はいつも相手の欲しいモノを買うためならば値段など気にしない。
いや富豪の家に生まれ育ったのだからそう思うのも致し方ないと思う。
だけど受け取る側のこっちもこっちなのだ。
さすがにソレは勘弁して貰いたい。
「だけど、この前アクセサリーショップで良い物を見つけたんだ。だけど雁夜が好きそうになさそうだからちょっと不安で・・・受け取ってくれるかい・・・?」
・・・・どうやらゲームは止めたらしい。
だが見ても居ないのにそんなことを言われてもまた困る。
どうせなら見てから判断させて欲しい。もちろん受け取らないわけがないのだが。
「見てみないと分からないだろ?どうゆう感じのだよ」
そう問いかけてみると、彼女は普段アクセサリーを付けない右手を見せた
そこには紅く煌めく綺麗な石が沢山ついてる指輪が嵌っていた
左手の薬指じゃなくて良かったとどこか思いながら指輪と彼女を何度も見比べた
「もしかしてこれ?」
そう問いかけると彼女は思いっきり横に首を振り
「これの青いバージョン・・・。お揃いなんだ・・・。」
と答えた。
顔をこれ以上染まらないんじゃないかって程顔を染めている彼女を見て申し訳ないなぁと思いながらその可愛らしさに顔を緩める
「受け取るに決まってるだろ?バカ臣」
そう答えてゆるふわウェーブがかかった髪を撫でる。
そうすると彼女は嬉しそうに顔を上げ「ほんとかい!?」と問いかけてきた
時臣から貰うモノを受け取らないわけがないのにと思いながら「ああ」と微笑んだ。
時臣が必死こいてバッグから指輪を取り出す間に欲しかったゲームのパッケージを手に取る。
アクションゲームで暴力的なシーンがいくらかあるゲーム
つい昨日までは購入できなかったゲームである。
勿論購入できなかっただけであってやるにはやった
兄に買って貰うなりしてだが
ソレを手にとって財布をポケットから取り出す。
そしてまだ取り出せてない時臣の手を引いてレジへ向かう

流石に店内で受け取るのも恥ずかしいので。

そして俺が購入した後駐輪場で指輪を受け取り値段を聞いて驚愕するまで後数秒
時臣が俺の買ったゲームを震えた手で指さして怖がるまであと数秒

時臣の右手に嵌ってた紅い指輪を俺が奴の左手の薬指に付け替えるまであと・・・・・・
時臣がプレゼントの青い指輪を俺の左薬指に付けて可愛らしく微笑むまであと・・・・・







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