背番号貸してて





今の6年桃山プレデターというチームの11番は僕のモノだった。
あくまで"だった"だ。今は僕の物では無い。
手放したのは不本意ながら自分自身だし、「11番は僕のだ!」と公言できるほどではない。
だからこの感情は正直嘲笑されても仕方ないのは僕自身がよくわかっている。
だけど眼を逸らしたくても逸らせずにずっとグラウンドを走り回る11番を目で追いかけた
そうだ、最初から危惧していたのではないか。彼が国際ヘヴンリーで11番を背負っているのだからいつかとられるなんて分かっていたのではないか
それでもあの場所は僕の場所であの番号を背負って走り回るのは僕だけだし高遠さんや凰壮君にフォローされながらシュートミスしたりシュートするのも僕のモノだし11番を来てシュートミスを虎太君に入れて貰うのも僕のモノだし不本意オウンゴールを決めた竜持をからかうのも僕のものなんだ。
なのに彼は11番を着て高遠さんや凰壮君からパスを貰って、虎太君と競い合って、竜持に褒められている。
彼処は僕のなのに・・・・

「あのさ、さっきから何?」
気がついたら目の前に金髪を靡かせた少年が立っていた。
蒼く澄んだ瞳はじっと僕を見つめている。
「さっきからずっと僕の"背番号"を見つめてたでしょ」
彼は声変わりしていない可愛らしい声でそう言った。
まさか気付かれていたとは思っていなかったと言うことはない。
寧ろ分かっていたのだがどうしても目が逸らせなくて・・・―――
「植松だっけ。前この背番号着てたよね」
彼は小さな口を開くとそう言った
まさかその事を彼が知っていると思わずに僕は驚いた声を上げた。
何で知ってるのそう問いかけたかった。
「覚えてるよ。試合中は眼鏡外してたよね。それ、伊達眼鏡なの?それとも試合中はコンタクトに変えてあるの?」
興味深そうに見てくる二つの眼に僕は逃れるように眼を逸らした。
そして乱視であることとそんなに目が悪い訳じゃないことを告げると彼は「ふーん」と短く呟いた。
正直こういう人を相手にするのは初めてのため凄く辛い
なんで竜持達はこっち来ないんだよ
そう思ってグラウンドを見れば彼らはグラウンドで走り回っていた。
ゴールキーパーの少年だけコーチの横でそわそわしていたがコーチに何か言われてコーチと会話を始めていた。
コーチの所為だと分かったらもう呆れて声も出なかった
「あのさ、11番はやっぱりあんたのだよ」
急に声を出した彼に僕は唖然とした
何を急に言い出すのだこの子は(いや、年齢は変わらないけど)
「俺はあんたからこの番号を借りてるだけだし、あんたより多分信頼されてないと思うんだ」
だからさ、
「この背番号俺に貸してて。あんた連れてスペインいくから」



背番号貸してて
(ゴンの想いは伝わってない模様)

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ゴン植・・・・?いやまず話の意味すら分からない






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